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潜水艦の時代は終わる? 英国議会報告書が警告

11/18(土) 6:00配信

JBpress

 質・量ともに圧倒的な中国の軍拡と、自衛隊の予算・人員の無駄遣いによって、日本の対中軍事優位性が日々減少している。そうした中、残された数少ない対中優位性の1つが日本の潜水艦戦力である。中国は対潜水艦作戦能力が低く、一方、日本の潜水艦は静粛性が高いので、日本がこの点では有利というわけだ。

 しかし、英国のシンクタンクが議会の要請に応じて作成した報告書によれば、小型偵察ドローンが潜水艦の優位性である「ステルス性」を無力化していく可能性が出てきているという。今回はその内容を紹介しつつ、意味するところを論じたい。

■ 何千もの無人機が潜水艦を探索

 2016年3月、英国の英米安全保障情報会議(BASIC)は、科学ジャーナリスト、デイビッド・ハンブリング氏による「対潜戦における無人兵器システムの網」と題する報告書を発表した。報告書の作成を求めたのは英国議会である。英国が潜水艦型核ミサイルシステムを維持すべきかどうかを検討する材料として用いるためだった。

 ハンブリング氏の報告書の概要は、以下の通りである。

 これまでの「対潜水艦戦」(以下、ASW)は、少数の艦艇および有人機によって実行されていた。これらの仕事は、広大な荒野で逃亡者を探す少人数の警察のようなものだった。最も可能性の高い逃走ルートや隠れ家に戦力を集中させて、幸運を祈るだけであった。

 しかし、安価な無人機の登場によって、逃亡者の逃走は不可能になる。一人ひとりの探知能力は低いものの何千人もの応援が警察の側につき、隅から隅まで全域を探索するようになるからだ。

 小型偵察ドローンが米軍を中心に増加している。精密攻撃が可能な小型無人機もイスラエルなどで登場してきている。

 しかも最近の米国防総省は、大量の小型ドローンを「群れ」として使う研究を進めている。例えば、米海軍は「コヨーテ小型偵察無人機」というASW対応の小型無人機を開発した。コヨーテ小型偵察無人機は哨戒機から投下されるや飛行形態に変形し、熱センサーで水温を測定し、風速・圧力などの様々なデータを収集可能する。

 そもそも偵察機を飛ばす必要はなくなるかもしれない。米海軍が開発した小型水上無人機「フリマ―」は、今までASWの主力であったソノブイ(対潜水艦用音響捜索機器)の代替になる可能性がある。

 また、やはり米海軍が開発した「セイル・ア・プレーン」は、飛行機であると同時に偵察時は水上で帆を使って帆走し、太陽発電と波力発電で充電できる偵察機である。

 水中グライダー式の小型無人機もある(水中グライダーは推進機を持たず、浮力を調整することで水中を上下しながら移動する)。大阪大学の有馬正和教授が開発した「ALEX」は低コストの水中グライダーである。有馬教授は、1000ものALEXのような無人機の群れで構成される巨大な共同ネットワークで海洋研究調査を行うことを提唱している。

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最終更新:11/18(土) 9:30
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