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不祥事からのトライアウト。奥浪鏡、「もう一度、野球で」と願う4打席

11/19(日) 9:00配信

webスポルティーバ

「合わせにいくなよ」
「踏み込めよ。踏み込め、踏み込め……」
「甘いところに来い! ストレート、甘いところ!」

■30歳のトライアウト。逆境の「元怪物」は何を思うか?

 11月15日にマツダスタジアムで行なわれたプロ野球トライアウト。生き残りを懸けた男たちの対決をスタンドから見つめる観客のなかに、創志学園(岡山)野球部監督の長澤宏行の姿もあった。

 長澤が思いのこもった言葉を発したのは、教え子である奥浪鏡(元オリックス)の第2打席、下手投げの加藤正志(元楽天)との対戦のときだった。

 トライアウトで野手にはひとり4打席が与えられている。奥浪の第1打席はフェルナンデス(元ヤクルト)の前にサードフライに打ち取られており、このあたりで奥浪らしい打球を見せたいところだった。しかし結果は、低めの変化球に空振り三振。

「そう甘いところには来ませんよね。そらプロやからね……」

 力なく、そう語った長澤だったが、すぐに気を取り直して再びこうつぶやいた。

「ここから、ここから。あと2打席で2本打ったらええんですよ」

 マツダスタジアムは、広島出身の奥浪が「広島ジャガーボーイズ」でプレーしていた中学時代、ある大会でレフトスタンド最上段に放り込んだ場所だ。

「だからね、相性のいい球場なんです。本人もいいイメージで打席に立っていると思いますよ」

 しかし、残りの2打席も四球とサードゴロ。奥浪にとって約6カ月ぶりとなった実戦で快音を響かせることはできなかった。

 トライアウト終了後、控え室から出てきた奥浪をひときわ多くの報道陣が取り囲んだ。その様子から、奥浪が今回のトライアウトの“注目選手”のひとりであることが伝わってきた。

「久しぶりの実戦でしたが、ボールの速さは大丈夫だったんですけど、ピッチャーとのタイミングというところで実戦不足はあったかなと思います。練習でシートバッティングとかもやっていたんですけど、(投げる)ボールも全然違いますし。トライアウトでユニフォームを着させてくださったオリックスや、ここまで支えてくれた家族のためにも結果を残したいと思っていたんですけど……」

 176センチ、100キロの愛嬌ある容姿と、人懐っこい語り口は以前のままだった。しかし、創志学園時代や、オリックスでの現役時代に話をしていたときの印象からすれば、いかにも神妙な雰囲気が奥浪の“今”を物語っていた。

 今年5月、奥浪は速度超過で1カ月の運転免許停止処分を受けた。ところが、その期間中に大阪市内にある寮の近くで車を運転し、オートバイと接触。事が明るみに出た。免許停止の報告を球団に怠っていたなかでの事故。この事態を重くみたオリックスは、無期限の謹慎処分を課した。以降、奥浪は練習にも参加できず、外出も基本的には禁止。寮長監視のもと奉仕活動に務めたが、8月に球団から契約解除が発表された。

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