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【トレード物語11】渡辺直人の突然の金銭トレードに楽天ナインが悔し涙【2010年】

2017/11/21(火) 11:06配信

週刊ベースボールONLINE

近年は少なくなってきたが、プロ野球の長い歴史の中でアッと驚くようなトレードが何度も行われてきた。選手の野球人生を劇的に変えたトレード。週刊ベースボールONLINEで過去の衝撃のトレードを振り返っていく。

契約更改後の異例の放出劇

[2010年オフ]
楽天・渡辺直人⇔横浜(金銭)

 それは一種異様な光景だった。その年、パ・リーグ6位の打率.318をマークした鉄平が、契約更改後の会見で涙を浮かべていたからだ。

 鉄平だけではない。草野大輔も会見の途中で目頭を押さえ始め、その後に登場した嶋基宏も号泣した。この日、契約更改を終えた楽天の3選手が、そろって“悔し涙”を流したのだ。

 それは鉄平がわずか1000万円増の年俸1億3000万円でサインしたからでも、草野の年俸が5300万円にダウンしたからでもなかった。嶋に至っては、年俸2900万円から5800万円に倍増していたのである(金額はすべて推定)。

 涙のワケは一つ。鉄平のセリフがそれを物語っていた。

「一番、尊敬する先輩でした。でも、こういう形で別れるとは思っていなかったので、とても悔しい……」

 3人が涙したのは、その前日に横浜への金銭トレードが決まった渡辺直人のためだった。

 渡辺は2007年、社会人の三菱ふそう川崎から大学・社会人ドラフト5巡目で楽天に入団すると、野村克也監督の抜てきで正遊撃手に定着。俊敏な守りだけでなく、しぶとい打撃と俊足で09年には球団初のクライマックスシリーズ進出に貢献した。

 だが、野村監督に代わってブラウン監督が就任した10年。初めて規定打席到達を逃すと、オフの12月9日に自主トレ先の千葉から呼び出され、トレードを告げられた。すでに契約更改まで済ませた後の放出劇は、きわめて異例のことだった。

 通告後の会見では最初は気丈にふるまっていた渡辺だったが、楽天ファンへのメッセージを求められると、途中で言葉に詰まった。

「仙台のファンは本当に熱くて、温かく……応援してくれました」

 ファンのことを思うと、涙がこみ上げてきた。その翌日、鉄平らが男泣きしたのは、そんな渡辺の姿を見ていたからだった。

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最終更新:2017/11/21(火) 18:14
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