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欧州遠征2戦を見た福田正博は、ハリルJのどこに一番不安を感じたか

2017/11/21(火) 17:30配信

webスポルティーバ

【福田正博 フォーメーション進化論】

 欧州遠征でブラジル代表、ベルギー代表と戦った日本代表は、それぞれ1-3、0-1と2連敗を喫した。W杯でも上位に進出するだろう強豪国を相手に、あらためてハリルジャパンの課題が浮き彫りになったといえる。

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 まず、ブラジル戦は相手をリスペクトしすぎていた。海外でプレーしている選手が増えた今でも、腰が引けた戦い方になってしまったのは残念な点だ。試合開始直後は、前線から積極的にプレッシャーをかけていた。コンパクトで組織的な守備でボールを奪い、素早く攻撃に転じるのはハリルホジッチ監督の目指している形だ。だが、ブラジル戦ではプレスをかわされて何回かピンチを招いてしまった。序盤にブラジルの攻撃力を目の当たりにした中盤やDFの選手は、失点を怖れて前線と連動して動けなくなり、結果として、チーム全体にズレが生じた。

「チームの一体感」と言葉にするのは簡単だが、実際にピッチに立つ選手たち個々の感覚は異なるもの。前線の選手が相手に一歩寄せたときに、後ろの選手が危険を感じて一歩下がれば、それだけで二歩分のスペースができてしまう。能力の高いブラジル代表の選手たちが、そのスペースでボールを持てばフリーになったも同然。プレーに余裕が生まれたことで、さらに日本がプレスをかけられなくなるという悪循環に陥った。

 ラインの裏を取られることをケアするあまり、日本の守備陣はDFラインを上げられなくなっていった。ブラジルの攻撃陣はそれほどまでに強力ということなのだが、今のハリルホジッチ監督の戦術でW杯を戦うのであれば、ラインを上げてコンパクトな守備を徹底する必要がある。そして、中盤や両ウイング、1トップの選手は、相手に体を密着させるくらいプレッシャーをかけ続けるしかない。

 後半に入ると、日本代表が志向するサッカーを実践できたように見えた。「前半で3点を奪ったブラジルがペースダウンしたから」という見方もあるが、ポジティブに言えば、「ペースダウンしたブラジルにはある程度通用した」と捉えることもできる。いくらブラジルといえど、試合終了まで常にハイペースでプレーするわけではない。攻撃を凌ぎ続けてペースが落ちたところでスキを突く。こうした戦い方ができれば、W杯本大会でブラジルと対戦したとしても、“ジャイアントキリング“を起こせる可能性はゼロではないと思う。

 そうした意味で、吉田麻也のフリーキックは収穫だった。ポスト直撃でゴールとはならなかったが、強豪国と同点で競り合ったまま試合後半を迎えれば、吉田の右足は相手にとって脅威になるはずだ。

 また、吉田がビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)によって取られたPKも、いい経験になったはずだ。あれくらいのペナルティーエリアでの激しい駆け引きは、吉田が身を置くプレミアリーグでは当然のように行なわれている。W杯でVARが導入された際に、どこまで激しくいけるのかを見極めるために、今回の判定が参考になるだろう。

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最終更新:2017/11/21(火) 17:35
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