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イノシシも出現…キャンパス「都心回帰」で八王子に異変〈AERA〉

11/23(木) 11:30配信

AERA dot.

 少子化の波が大学経営を揺さぶるなか、郊外キャンパスの「都心回帰」が顕著だ。異変の渦中にある都内随一の学園都市・八王子市を歩いた。

【写真】パルテノン神殿ふうな 杏林大学の「井の頭キャンパス」

 シミ一つない外壁。ピカピカに磨かれたガラス窓。地面には落ち葉以外、ゴミらしいものは一切見当たらない。校舎や研究棟がそびえ立つキャンパスは、まるごと瞬間冷凍パックされたような静けさに包まれていた。

 杏林大学は昨年4月、東京・八王子キャンパスの保健、総合政策、外国語の3学部を都心に近い三鷹市の「井の頭キャンパス」へ移転。3500人の学生が去った今、八王子キャンパスに通うのは運動施設を利用する一部のスポーツ部員に限られる。

「いつでも使える状態です」

 大学職員が告げた通り、東京ドームの3倍近い、約13万平方メートルの施設の保守管理は、緑の手入れを含め維持されている。大学側はこの用地を「八王子市の理解も得ながら早期売却を図る予定」としているが、具体的な結論には至っていない。

 ユニホーム姿の野球部員に声をかけてみた。茨城、栃木県出身の2人の3年生部員は徒歩5分の下宿暮らし。キャンパス移転について口々にこう話した。

「移転に合わせて引っ越した人が多いです。僕らも野球部でなかったら引っ越していたと思います。家賃は倍以上になりますが、都心に近いほうが絶対いいです。ここは駅前に行かないと何もないじゃないですか」

 買い物や娯楽、アルバイトも都心が好条件という。大学も学生のニーズをよく理解している。

 学部移転について杏林大学は「文系、医系一体となった総合大学としての教育環境を整える必要があった」ことに加え、「通学の不便性などが学生募集に不利に働いて、志願者確保の上からも課題があった」と説明。大学発祥の地であり、医学部や付属病院のある三鷹キャンパス近くに用地確保できたことから移転集約に踏み切ったという。

 首都圏の大学学部の「都心回帰」が相次ぎ、学園都市・八王子市にも異変が生じている。

 杏林大学以外にも、共立女子大学が八王子キャンパスを利用していた全学部の1、2年生と国際学部の3、4年生を、2006~07年度にかけて神田一ツ橋キャンパス(東京都千代田区)に集約。拓殖大学も15年から商学部、政経学部の1、2年生を文京キャンパス(文京区)に移した。中央大学も22年までに、法学部を多摩キャンパス(八王子市)から都心部のキャンパスに移す予定だ。

 いずれも郊外に展開する以前から確保していた都心部のキャンパスへの「回帰」だ。

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最終更新:11/23(木) 11:56
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