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乳児虐待の疑いで逮捕された母の悲痛な叫び「私はやっていません…」

11/22(水) 13:00配信

現代ビジネス

「冤罪が生まれています」

「揺さぶられっこ症候群で乳幼児が死傷。虐待した親が逮捕……」

そんな事件を目にする機会が増えている。だが、専門家からは「揺さぶられっこ症候群(SBS)」という現象そのものに、疑問の声が上がっていることをご存じだろうか。

夫と一緒に、長男をあやす京子さんの写真

2年前、生後間もない我が子への殺人未遂容疑で逮捕・起訴された一人の母親がいる。保釈中の現在も一貫して無罪を主張し続けている彼女と、突然被告人となった妻を支え続ける夫への取材をもとに、事件の奥に潜んだ「揺さぶられっこ症候群」の問題を、ジャーナリストの柳原三佳氏が検証する――。




『日本でも冤罪多発か?  揺らぐ医学神話にこだわる日本の刑事司法』

そんなキャッチコピーで始まるWEBサイト「SBS検証プロジェクト」(http://shakenbaby-review.com/)が、去る2017年10月25日、大学教授や弁護士を中心に立ち上げられた。

トップページには、「あなたやあなたの身近な人が、赤ちゃんを揺さぶって虐待したと疑われていませんか?」と題して、次のような呼び掛け文が掲載されている。

「私たちは、法学研究者や弁護士が中心となって「SBS検証プロジェクト」(SBS Review Project Japan)を立ち上げました。

もちろん乳児虐待は決して許されません。しかし、無実の養育者が、不確実な理論で誤って虐待者とされることも絶対に許されません。

そのような事態は、誤って疑われた養育者だけでなく、子どもたちにも大きな不幸を及ぼしかねないのです。今後私たちは、研究を進めるとともに、SBS理論に基づき、誤った訴追を受けた方々への支援活動を進めていく予定です」

「揺さぶられっこ症候群」、英語では「Shaken Baby Syndrome」(シェイクン・ベイビー・シンドローム)と呼ばれ、その頭文字をとって世界的には「SBS」と呼ばれている。

日本でもここ数年、乳幼児に「揺さぶられっこ症候群が見られること」を虐待の証拠に、親などが刑事訴追されるケースが相次いでいるが、それに対して法律家や刑法学者らが中心となって異議を唱えているのが、このプロジェクトだ。

この検証プロジェクトのメンバーの一人である大阪の秋田真志弁護士から私のもとに連絡が入ったのは、ちょうど半年前、2017年4月のことだった。

<現在、SBS(ゆさぶらっれこ症候群)による冤罪事件に取り組んでいます。欧米諸国ではすでにSBS理論そのものの科学的根拠に疑念の声が上がっているのですが、日本では今もこの理論を根拠に親が逮捕されるケースが相次いでいます。これは、取り上げるに足りる深刻なテーマだと思います。是非、柳原さんの発信力で世に警鐘をならしていただければ幸いです>

メッセージの末尾に添付されていた「ワシントンポスト」の記事によると、アメリカでは2001年以降、子供が死亡または傷害を負ったことについて、SBS理論を根拠に刑事事件となったケースが2000件近くに上っているが、そのうち約1割は「無罪」「有罪判決の破棄」また「起訴の取り消しや取り下げ」がなされたという。
 
「揺さぶられっ子症候群」。この言葉は、子育てを経験した母親の一人として、私ももちろん知っていた。「首の座らない赤ちゃんを強く揺さぶったり、揺れの激しい乗り物に乗せたりすることは危険であり、避けるべきだ」ということは、この言葉が定着するずっと前から、子育ての常識だった。

しかし、改めて「揺さぶられっ子症候群とは何か?」と問われると、その言葉の定義を具体的に答えられないことに気が付いた。

そもそも、「揺さぶられっ子症候群」という言葉は、いつから使われるようになったのだろうか? ウィキペディアで検索してみたところ、

<揺さぶられっ子症候群(SBS)とは、概ね生後6か月以内の新生児や乳児の体を、過度に揺することで発生する内出血などの外傷。児童虐待ともなりうるもので、乳児揺さぶり症候群ないし乳幼児揺さぶられ症候群ともいう。2010年ごろから、児童虐待による死傷事件に関連して「乳児揺さぶり死」という語も出てきており、社会問題キーワードにも挙がっている>

とある。「児童虐待」と揺さぶられが結びついたのは、ごく最近のようだ。

これに異を唱えているのが、秋田弁護士をはじめとする「SBS検証プロジェクト」のメンバーだ。冒頭で紹介したWEBサイトには、そもそもその「定義」に対する疑問について、こう解説されていた。

<(揺さぶられっ子症候群とは)簡単に言うと、赤ちゃんの頭部外表に目立ったケガなどが見られないにもかかわらず、硬膜下血腫、網膜出血、脳浮腫という3つの症状(これは三徴候と呼ばれます)があれば、それは「暴力的な揺さぶり」=虐待によるものだと推測して良いという理論です(ただし、論者によって、そのニュアンスや説明方法は微妙に差があります)。

確かに児童虐待は決して許されません。しかし、三徴候は、本当に「暴力的な揺さぶり」=虐待を裏付ける十分な証拠なのでしょうか。>

子供への虐待は、許されざる行為だ。現実に、身体に傷の残るような暴力を受けたり、十分な食事も与えられず放置されるなど、信じがたい虐待事件が数多く発生している。

しかし、外見上、誰が見ても明らかな「虐待」とは違って、目立った外傷はないが脳に異常がみられる場合、その判断は非常に難しいだろう。もしそれが、「虐待」ではなく、不幸な「事故」によるものだとしたら……。

例えば、よちよち歩きの子供がふと目を離したすきに転倒したり、ベッドや縁側から転落して頭を強く打つこと、兄弟で遊んでいるときに予期せぬ事故が起こる場合もあるはずだ。

こうした事案が発生したとき、児童相談所や警察、検察は、いったいなにを根拠に、「事故」か、それとも「殺意があった」のかを判別するのだろうか?

振り返れば、自分自身も子育てをする中で、危険なシーンはたびたびあった。子供はある日突然、昨日までできなかったことができるようになるものだ。ふと気づくと、寝返りを打って大移動していたり、椅子やテーブルの上によじ登っていたりして驚くこともたびたびあった。

さまざまなケースを考えているうちに、誰もが虐待を疑われる可能性があるのだと思うと、とてつもない恐ろしさを感じた。

現在、秋田弁護士が刑事弁護に取り組んでいる「揺さぶられっこ症候群」事件のひとつに、2014年に大阪で発生した乳児虐待事件がある。

母親は「生後1か月の長女に“暴力的な揺さぶり”をおこなった」として、殺人未遂で逮捕。その後、傷害の罪で起訴されたが、当初から一貫して無罪を主張、秋田弁護士は「揺さぶらっれこ症候群を根拠としたこの事件は、冤罪の可能性がある」と指摘している。

親子だけの密室で、いったい何が起こったのか……。私は保釈中の母親に話を直接聞くため、大阪へと向かった。

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最終更新:11/23(木) 10:37
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