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日本はプレッシングを誤解している。スペインの名将が斬るブラジル戦

11/22(水) 11:41配信

webスポルティーバ

「前半の日本の戦いを見る限り、各選手に一定の評価を与えられるような出来ではなかった」

【写真】福田正博はブラジル戦をこう見た>

 ブラジル戦の感想を、ミケル・エチャリはそう言って端的に語っている。

「チームとして無秩序だった。ブラジルのほうが明らかに格上だというのはあるにせよ、FWとDFのラインが間延びし、自分たちはスペースを有効に使えず、相手にはいいように使われてしまった」

 エチャリの戦術眼はスペイン国内でも高く評価される。FIFA非公認ではあるが、バスク代表を率い、2015年12月にはバルサ中心のカタルーニャ代表をカンプノウで撃破している。その後、多くのクラブがバルサ対策としてエチャリの守備戦術をコピーしたほどだ。

「日本はプレッシングには精力的だったと言うことはできる。だが、プレッシングの捉え方そのものに誤りがあるのだ。気力、体力の問題ではない」

 エチャリの分析は、今回も鋭利だった。

「立ち上がり、日本は高いプレー強度で挑んでいる。まずはブラジルのコンビネーションを崩そうと、敵陣内でプレッシングをかける。それによって、序盤はチャンスを作らせていない。

 しかし、ブラジルはスモールスペースでプレスを回避できるスキルが日本の選手たちよりも上だった。その精度の高さによって、次第にボールをつなぎ、リズムを生み出していく。一方で、ブラジルが日本の選手にプレスをかけると、日本の選手はそれを回避できない。単純な技術の差が浮き彫りになった。

 やがて、日本はプレッシングが機能しなくなる。前半10分、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)判定でのPK献上は不運だったが(プレー自体はファウルだが、それなら他にも適用されておかしくない場面があった)、守備は秩序を欠いていった。前線から激しく追い立てるだけになってしまい、その消耗は甚大だ。一方、バックラインは後方に残ったままで、前線との間にぽっかりとできたスペースを相手に使われることになった」

 エチャリはスペインの監督養成学校でライセンスを与える教授でもあるが、プレッシングについて大事な指摘をしている。

「プレスは強度ばかりが語られる。しかし、これは明らかな間違いだ。プレッシングで大事なのは、スペースをバランスよく支配することにある。

 まず、相手のボールの出どころにフタをする。最前線の選手はボールを奪うのが役目ではない。出どころにフタをし、ミスを誘発させることにある。そのためには、味方選手との連係とスペースの均衡が取れたプレッシングが欠かせない。

 なぜなら、ブラジルのようにスキルの高い選手を集めたチームを相手に、1人や2人が猛烈に寄せても、それによって空いたスペースを使われるだけだからだ。有能なチームは、むしろ相手のプレッシングを自陣に誘い込む。そうやって、ディフェンスラインの裏に広がるスペースを突いてくるのだ」
 エチャリは守備に関しては完璧主義者で、どんなミスも見逃さない。

「日本はプレッシングだけでなく、リトリートの守備でも問題を抱えていた。

 ブラジルは日本のFWがボールを追い立てるのを巧妙に利用している。食らいつかせた後に、前線の選手が中盤に落ちてボールを受け、そこでタメを作った。ガブリエル・ジェズス、ネイマール、ウィリアンは高い技術を持ち、前を向いてボールを持てばなかなか止められない。そこにダニーロ、マルセロというサイドバックが上がって、攻撃の厚みを増した」

 圧倒的な劣勢に立たされた日本だが、エチャリは後半の戦いに関しては一定の評価を与えている。

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最終更新:11/22(水) 17:41
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