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「悪質クレーマー」は一体どれだけ不当なのか

11/23(木) 6:00配信

東洋経済オンライン

■無理やりに土下座をさせるのは「強要罪」

 土下座を強要させる。過度な暴言を浴びせる。不手際に対して必要以上の謝罪や金品を要求する――。

 百貨店やスーパー、コンビニエンスストアなど流通サービス業が主に加盟する産業別労働組合「UAゼンセン」が、顧客の悪質クレームに声を上げた。11月16日、厚生労働大臣に労働者を守る措置を国として講じるように要請書を提出した。

 UAゼンセンがこれに先駆けて今年6~7月に行った調査では、アンケート回答者の7割以上が、客から何らかの迷惑行為を経験したことがあるということが明らかになった。少し前の話となるが、衣料品チェーンの「しまむら」で客が店員に土下座を強要し、ツイッターに投稿した事件(2013年9月)をはじめ、接客スタッフが客から過度の謝罪や暴言などを受けたというニュースはしばしば報道されている。

 上記調査によると「迷惑行為」を受けた従業員の1%が、その影響で精神疾患に陥ったということだ。

 もちろん、従業員側の不手際に対し、客の立場からすれば一定程度のクレームをつけたくなるのは、人間としての心情であろう。ただ、それが行きすぎてしまうと、最悪は法律にも抵触し、「犯罪」となる可能性がある。

 たとえば、無理やりに土下座をさせるのは「強要罪」、怒りに任せて胸ぐらをつかむのは「暴行罪」、その結果、ケガをさせれば「傷害罪」に問われるかもしれない。また、店頭で大声を上げ続けることは「威力業務妨害罪」に当たる可能性がある。

 迷惑行為を続けた際に、「お引き取りください」と言われ、それでも居残り続けた場合は、「不退去罪」に該当する場合もある。店舗などのパブリックな場所であったとしても、その場所の所有者や管理者から退去を求められて退去しなかった場合に成立する犯罪だ。

 接客スタッフの立場になってみると、突然、悪質なクレーマー客と対峙することになって心の準備ができていないと、相手の勢いにのまれたり、どうしてよいかわからず頭が真っ白になったりするだろう。ただ、行きすぎた悪質クレームが刑法上の犯罪に問われる可能性があるという点から、「不当な要求に応じる必要はない」というスタンスを取ることは可能だ。

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