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病院、まだ使える医療機器・薬を有効利用 国が新制度

11/24(金) 7:47配信

NIKKEI STYLE

 医療機器や薬を節約する取り組みが広がっている。厚生労働省は7月、使用済みの使い捨て医療機器をリサイクルできる仕組みを導入。分解洗浄したリサイクル品を、病院は新品よりも安く購入できるようになる。医薬品についても、患者に投与されず余って捨てていたものを有効活用する動きが出始めた。医療現場の節約が浸透すれば、高騰する国の医療費を約1100億円削減できるという指摘もあり、期待を集めている。
 新たな医療機器のリサイクル制度は、1回使っただけで捨てる「単回使用医療機器」と呼ばれる使い捨て機器が対象だ。このような医療機器は多く、診断用のカテーテルや手術用のドリル、のこぎりなどもある。中には診療報酬上の価格が1本約20万円するものもある。機能的には複数回利用できるものでも、感染症防止など安全上の理由で使い捨てにしている。
 新制度では、厚生労働省の審査を受けた後、企業がリサイクル品の事業をすることができる。企業は医療機関から使用済みの機器を回収。適切に分解、洗浄や部品交換、滅菌などをしたリサイクル品を医療機関に出荷できる。リサイクル品は新品の5~7割の価格で販売できるようになる見込みだ。
 医療材料大手ホギメディカルの保木潤一社長は「2017年度中には、国内初のリサイクル品を当局に申請したい」と意気込む。既に幾つかの製品について再製造ラインを工場に設置し、準備を進めている。
 既存の医療機器メーカーの多くはこの制度に消極的だ。売り上げ減少につながることを危惧している。ホギメディカルは医療機関の経営支援を手がけており、このような企業が普及を後押しするかもしれない。保木社長は「リサイクル品は医療費削減に役立つ。医療現場からの要望も強い」と話す。
 これまでは厚労省の通知により、再使用は禁止されていた。だが医療現場では以前から、再利用が禁止されている医療機器を病院が洗浄し、使い回すケースがあり問題になっていた。機器を再利用して節約すれば、病院の利益が増えるためだ。10年前は国立大学病院の9割超が再利用していたとの調査結果もある。
 病院での滅菌が不十分だと、感染症などの健康被害を出すケースもこれまでにあったという。医療機器の性能低下による医療事故のリスクの懸念もある。そこで厚労省は新制度を設け、企業に適切な処理を徹底させることにしたわけだ。
 患者にとっては、厚労省の認可を受けているため安全上のリスクが減る。全体の医療費を抑制できれば、患者の自己負担を抑えることにもつながる可能性がある。
 単回使用医療機器は広く使われている。国内の医療機器市場約2兆7500億円のうち約1兆5000億円を占める。保木社長は「このうち約1割がリサイクルに向いている」という。市場の半分程度がリサイクル品に置き換われば、300億円程度の医療費削減効果が期待できる。
 節約を模索する動きは医薬品でも進んでいる。
 「自分の月給以上の金額分の薬を毎日捨ててますよ」。都内の大学病院の薬剤師はこう話す。捨てるのは主に抗がん剤など液体の薬だ。瓶単位で販売されており、患者によって使う量が異なるため、どうしても余りが出るという。
 余った薬剤は通常廃棄されるが、その量は少なくない。慶応義塾大学大学院の岩本隆特任教授によると、国立がん研究センターでは15年に薬剤費換算で全体の9%が廃棄されていた。全国では年間約1000億円にも上る。岩本特任教授は「(がん免疫薬の)オプジーボなど高額な薬が増え、廃棄額が無視できなくなっている」と指摘する。
 余った薬を捨てずに有効利用している病院も一部にある。開封後も外部の空気や雑菌が入らないような閉鎖式の接続器具を使い安全上の対策などをすれば、他の患者にも投与できる。
 ただ、この節約術はさほど広がっていない。日本の医療制度では、病院は余って廃棄した分も含めて薬の医療費を請求できるためだ。無駄を省いたり過剰な診療を抑えたりする行為を評価しにくく、無駄が生じやすい構造だった。
 国もこの節約術の検討を始めた。閉鎖式の器具を使う無菌処理などに報酬を加算する仕組みなどが考えられるようだ。厚労省は制度化を見据えて、18年度から一部の大病院で試験的な運用を開始する見込みだ。岩本特任教授は「閉鎖式器具を使って廃棄分をうまく利用すれば800億円ほど医療費を節約できそうだ」と試算する。
 医療費抑制は政府の大きな課題。医療機関が無駄を省くインセンティブが働くように、新しい評価体系の構築が求められる。
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最終更新:11/24(金) 7:47
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