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“鹿島る”の正体とは何か? 鹿島がJリーグで勝ち続ける必然

2017/11/24(金) 19:10配信

footballista

西部謙司の戦術リストランテ Jリーグ編 第3回「鹿島アントラーズ」

海外サッカー月刊誌footballistaの名物連載『戦術リストランテ』のJリーグ版がWEBで開店! 第3回は、9度目のJリーグ制覇を目前にした鹿島アントラーズの強さの秘密に迫る。「戦術上の正解」と「試合の流れの中での正解」は違う。日本サッカーに足りないものを鹿島は持っている。


構成 浅野賀一

鹿島のベースはブラジルサッカー

―― 鹿島はJリーグ開幕時から[4-2-2-2]のブラジルスタイルでした。まずはこのシステムの話からお願いします。

 最初はトップ下にジーコがいたので中盤ダイアモンド型の[4-4-2]でしたけどね。3バックの時もありましたが、今の[4-2-2-2]に定着しました。DFは4人、ボランチ2人、攻撃的MF2人、2トップの構成です。典型的なブラジル式の[4-2-2-2]ですね。攻撃的MFのサイドハーフは押し込むにつれて中央へ絞り込み、SBが前に出て幅を取ります。2トップの1人はセカンドトップ型で、人選によっては[4-2-3-1]になりますが、攻守の機能性に大きな差はありません。

 [4-2-2-2]は完全に左右対称のフォーメーションです。CB、SB、ボランチ、攻撃的MF、2トップがそれぞれ対になっているので、その中でバランスを取っていけばチーム全体のバランスも取りやすいという特徴があります。ジーコが「つるべの動き」を強調したのはそのためでしょう。ジーコが現役最後にプレーしたクラブで、その後テクニカルディレクターとして草創期を支え、監督や助っ人選手もブラジル人ばかり。一言でいうと、ブラジルのサッカーですね。「10番はこう」「左SBはこう」と、それぞれのポジションのイメージができているので迷いがないですし、もう何も考えなくても自動的にやれてしまう感じです。


―― ブラジルサッカーでも質実剛健なスタイルですよね。インテルナシオナウみたいな。

 ブラジルサッカーといえば華やかなイメージを持つ人が多いですが、あれはセレソンの印象です。あんなにいっぱいクラブチームがあるんだから、弱いところは当然カウンターを狙いますし、地域やクラブによって違いがあります。鹿島はブラジルサッカーの中でも標準型というか、オーソドックスなチームです。ブラジル人ならすぐ馴染めると思います。


―― 今季のチームはどう分析しますか?

 ハイレベルのGK2人、CBは昌子と植田の日本代表コンビ、SBは右に西、左は山本がレギュラーでしょうか。西は1つ前のポジションやボランチもできるので、非常に現代的なSBですね。ボランチは何と言ってもレオ・シルバ。守備力抜群、さばくのも安定しています。もう1人は代表にも選出された永木、重鎮の小笠原、そして終盤にレギュラーになった三竿がいます。攻撃的MFはさらに多彩で、レアンドロ、土居、中村、遠藤、安部がいます。2トップは金崎がエースですが、ペドロ・ジュニオール、金森、鈴木、MFの土居、レアンドロ、安部がFWでプレーすることもできます。

 どのポジションもとにかく層が厚い。DAZNマネーで賞金が跳ね上がった今季のリーグを獲ることがいかに重要かをフロントが理解しているのでしょう。プレミアリーグでも最初の2年で優勝したマンチェスター・ユナイテッドがその後の覇権を握り続けました。プレミア以前にユナイテッドが優勝したのはジョージ・ベストの時代ですよ。高額の賞金が獲れる時に優勝することが、その後のアドバンテージになります。

 どのポジションも層が厚くなったことで、序盤はメンバーを固定しにくいですし、チーム内競争が悪い方へ出る懸念もありました。実際、途中は失速しかけて石井監督を更迭しています。この決断の早さも鹿島ならではでしょう。昨季の優勝監督をあの段階でクビにできるチームはそうないと思います。それだけ今季のリーグへ懸ける意気込みが強いことがうかがえます。後任の大岩監督はチームをうまくまとめて軌道に乗せ、目論み通り優勝目前です。

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最終更新:2017/11/24(金) 21:41
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