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言った本人も気づかない「イノベーションを阻害する決まり文句」とは

11/27(月) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

今、再び米国シリコンバレーに注目が集まっているが、その真の姿は知られていない。現地に25年以上在住し、現在も投資家として活躍する“インサイダー”である筆者に、その生態系を多角的に説き明かしてもらう。
 去る5月25日、米国で最も歴史ある大学、ハーバード大学で卒業式が行われた。異例だったのは、招待された講演者の年齢が、卒業する学生と10歳ほどしか離れていないことだった。

 講演者の名は、マーク・ザッカーバーグ(33歳)。世界中で20億人が使う米フェイスブックの創業者でありCEOである。現在のフェイスブックの企業価値は40兆円以上あり、トヨタ自動車の3倍近い。そんな若き起業家が、大学を巣立った後に米国を引っ張っていくであろう約2000人の若きエリートたちを前に発した言葉は衝撃的だった。

 それは、「大人」たちの価値観から決別し、1980年から2000年ごろまでに生まれた彼ら自身の世代──ミレニアル世代──の目的意識を醸成すべきだ、という宣言だった。大学には先輩の培ってきた価値観を継承していくかび臭いイメージがある。その最高学府の卒業式で彼は言い放ったのだ。

 「(先輩たちがそうであったように)自分の目的を見つけるだけでは不十分だ。われわれ世代の挑戦は、皆がそれぞれ目的意識を持てるような世界をつくることにある」と。

 彼の言う「目的」の意味は広く、むしろ「生きる意味」に近いように思う。自分が必要とされている気持ち、未来には今よりもっと素晴らしいことが待っている、という意識である。目的は幸せの源泉なのだ、と言う。

 待てよ。この話は中年以上の日本人にとって何か懐かしい響きを与えないだろうか。戦後の焼け野原から復興し、今日より明日は豊かな社会になっている。こうした希望はまさに幸せの源泉だったと思うし、日本社会の全員がその感覚を共有していた。

 しかし、社会に出たときから不況・デフレ続きで成長を経験してこなかった日本の若者世代にこの感覚はない。では、日本の若者世代が「自分は必要とされている」と感じ、「未来には自分を懸けられることが必ず待っている」と思うために今、何が必要なのだろうか。

 ザッカーバーグはこう続ける。「アイデアは完成してから目の前に現れることはない。アイデアの創生や実現に努力をする中でやっと少しずつ明らかになっていくものだ。最終的な目的地が最初から見えている人なんていない。とにかく始めるしかないのだ」。

 彼の言葉を借りれば、「世界規模の変化であっても最初は小さいところから始まる。最初は誤解されることを覚悟しよう。誰でも大きなビジョンで追い掛ける人は『狂っている』と思われる」という。

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