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2018年の大問題「中小限界大学消滅」は回避可能か

11/30(木) 11:00配信

現代ビジネス

文科省が「閉校を促す」可能性

 大学関係者の重大関心事だった「18年問題」が、いよいよ間近に迫ってきた。少子化による大学淘汰の波が押し寄せてくるのである。ここしばらく120万人程度で推移してきた18歳人口が2018年度以降に再び下がり始める。16年の出生数は100万を割った。現在、国公私立を併せて780の大学がある。進学率が現在の水準で推移するとして、入学定員1000人の大学が100校近く消えていく計算である。

 私大では90年代末から定員割れが深刻化しており、16年度には全体の四割を超える約260校が定員未充足である。一般に採算ラインとされる充足率80%未満の大学も120校近くあり、18歳人口の減少がこれらの私大経営を直撃することは避けられない。 

 この5月には、文部科学省の「私立大学等の振興に関する検討会議」報告書が出された。破綻の可能性のある私大について、「早期の適切な経営判断が行われるよう支援」する、と踏み込んだ表現がされ、状況によっては文科省側から閉校を促す可能性を示した。文科省はその後さらに、大学間で学部を譲渡することを可能とする制度の検討を始めている。大学経営からの撤退を検討している学校法人にとっては、より決断を下しやすい環境が生まれつつある。

ハードランディングを避けられるか

 単純計算では、毎年のように10校近くが閉校に追い込まれる状況が生ずることになるが、多少は緩やかなものになりそうである。理由は次のようなものである。

 第一に、閉校になる場合も、大学間の吸収・合併などによる穏やかな形をとるケースが予想される。大学にとって周辺の閉校予定大学に魅力的な学部があれば、吸収に動くことが考えられる。大阪府堺市のプール学院大学は16年度に学生募集を停止したが、教育学部は桃山学院が引き受けることになった。部外者には分かりにくいが、学校法人の間には様々な繋がりがある。プール学院と桃山学院は同じ聖公会系のミッションスクールであり、人的な繋がりもあった。

 第二に、私大をもつ学校法人の多くは中学・高校を経営している。歴史の古い大学とは逆に、歴史の浅い大学の多くは、中高を経営する法人によって開設されている。大学の規模が小さければ、高校以下の授業料収入などで赤字を補填する余裕もある。理事長が大学の存続にこだわれば、学園全体の経営が脅かされない限り、大学は残されることになる。

 第三に、公立化の動きがあることだ。地方自治体にとって大学の撤退はいろいろな意味で避けたい。16年度には、山口県山陽小野田市の山口東京理科大と福知山市の成美大学がそれぞれ公立化し、今春も長野県上田市の長野大学が公立化している。今後も同様の動きがあるだろう。

 第四に、文科省による私大の「水増し入学」抑制策が、定員割れに喘ぐ中小私大に恩恵をもたらしていることである。政府・文科省は、東京23区内の私大の定員増を認めない方針を示し、同時に全国の私大に対して定員管理の厳格化を求めている。15年の文科省通知では、18年度に在学者数が、全学定員8,000人以上で110%、定員4,000人~8,000人で120%を超えると、助成金を全面カットするとした。

 大都市圏の有力私大の多くは全学の定員充足率を110%前後に抑えているが、留年率などを勘案する必要もあり、この2,3年は入学者数を絞っている。その効果はすでに表れ、日本私立学校振興・共済事業団の調査によれば、定員割れ大学数は17年度に229校まで減少し、とくに充足率が80%未満の大学が減っている。

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最終更新:12/1(金) 15:00
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