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フランスでは「起業に失敗」しても落第者にならずに済む理由

12/1(金) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 事業に失敗はつきものである。米シリコンバレーのように起業が起業を呼ぶ「エコシステム」ができていない国では、失敗のリスクをどう減らしていくかが起業家を増やす鍵となる。フランスの二つのコミュニティから、そのヒントを探る。(週刊ダイヤモンド編集部 小島健志)

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● しくじり先生を雇う 相互扶助的な「コミュニティ」

 起業家としてやはり怖いのは事業に失敗すること。それは日本でもフランスでも同じことだが、失敗した起業家を積極的に雇おうとするユニークなコミュニティがパリにある。それがThe Family(ファミリー)だ。

 ファミリーは、2013年に起業家の支援のために発足。イギリスやドイツにも拠点を持ち、スタートアップ企業が約250社参加している相互扶助的な組織である。

 ファミリーのメンバーになると、パリのコワーキングスペースを24時間利用できるようになるだけではなく、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を筆頭に、サービス開発に必要な各種クラウドサービスも利用できる。

 だが、ファミリーの真骨頂は、「人」による支援にある。起業家の育成を手掛けるだけでなく、職業訓練学校を設けて、スタートアップに就業したい人、つまり従業員向けの養成講座を開いているのだ。

 注目すべきはその講師だ。ファミリーでは失敗した経営者、つまり“しくじり先生”を講師として雇っているのだ。

 講義だけではない。メンバーである他のスタートアップへの紹介やあっせんといった支援策も用意している。こうすることで、たとえ事業に失敗しても積極的に雇用の機会が与えられるのである。

 スタートアップの支援に「攻め」のプログラムは多数あるが、「守り」のものはほとんどない。なぜこうした“セーフティーネット”が必要だと考えたのか。

● エコシステムの代わりとなる セーフティーネット

 ディレクターであるエリカ・バティスタ氏は、「フランスにはグーグルやアマゾン、フェイスブックのような大きなIT企業がない。そのため、シリコンバレーのような環境はまだできあがっていない」と話す。

 米シリコンバレーであれば、起業が起業を呼ぶ「エコシステム」があるので失敗してもあまり心配はない。「失業の翌日に職が見つかる人も少なくない」(シリコンバレーの経営者)からだ。なにせ、スタートアップが次々と生まれており、恒常的な人手不足に陥っているため、失敗しても、むしろその経験が重宝されてすぐに声が掛かる。

 だが、失業率が10%を超えるフランスでは、米シリコンバレーのように次の仕事がすぐに見つかるわけではない。日本でも失敗すると「落第者の扱いを受ける」(スタートアップ経営者)が、フランスでも同じようなものだという。そのためファミリーは、「共助のモデル」を築いたというわけだ。

 では、なぜVC(ベンチャーキャピタル)やアクセラレーター(少額出資とプログラムの提供を通じて、スタートアップを急成長させる存在)ではないのか。バティスタ氏は「究極的には、それでは起業家サイドに立てない」と指摘する。

 確かに、VCやアクセラレーターは、起業家を支援する存在だ。だが、それは企業が順調に成長することが前提だ。上手くいかなくなければ、投資家は出資の引き上げや株式の売却、創業者の交代を迫る。投資家の目的はリターンであるのだ。

 そのとき起業家は、投資家と敵対関係となる。ファミリーの創業者自身がフランスでも有数のアクセラレーターだったゆえに、投資家による支援の限界に気づいたのである。

 その点、ファミリーはセーフティーネットを設けるだけではない。当然、起業の「いろは」を学べるプログラムを用意している。入りたての起業家を束ね、本物の城を借りてキャンプを行い、メンバー同士の絆を深めることもあるという。

 また、ファミリーの背後には、世界のエンジェル投資家やVCなど200以上に上る、いわゆる「ゴッドファーザー」の存在がある。マッチングイベントを定期的に行い、スタートアップとゴッドファーザーとの関係を円滑化して、資金調達を容易にしているのだ。

 フリーランスの派遣サービスを展開するSide.co(サイド)の共同創業者、ミシェルスキ・ヒューゴCTOは「会社を作ると、契約や支払いなどプロダクト開発以外にも大変なことが多い。ファミリーではそのノウハウを学んだ。ゴッドファーザーとのつながりができ、イギリスやドイツへの展開にもつながった。もしファミリーがなかったなら、今のサイドはなかった」と話す。

 とはいえ、投資家であればリターンが見込める。そうではないファミリーの場合、どのように運営しているのだろうか。

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