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さらば、ヤ戦病院。石井コーチの「悪魔の囁き」でヤクルト戦士を改造中

2017/12/2(土) 9:56配信

webスポルティーバ

ヤクルト怒涛の松山キャンプ(後編)

 ヤクルトは来季のスローガンを「SWALLOWS RISING 再起」と発表した。11月の秋季キャンプでは、山田哲人が「今までで一番」と言うほど激しい練習が組まれ、黙々とメニューをこなしていく選手たちの姿を見れば、絶対に“再起”を果たせると思えるのだった。

■鉛のベストで猛練習。ヤクルト秋季キャンプはリアル「スポ根漫画」だ

 8人の選手がロングティーをしている間、別の8人は三塁側のファウルグラウンドでフィジカルトレーニングに励んでいた。腰にゴムバンドを巻き、地面を這うようにして前進していくのだが、そのゴムを手綱にしたパートナーが前へ進ませまいと引っ張る。その様子は、まるで“トカゲの散歩”のようにも見えるのだが、選手にとってはどこまでもつらいトレーニングなのである。

 今シーズン、数多くのケガ人に泣かされたチームにとって、強い肉体をつくり上げることは重要課題である。橘内基純(きつない・もとずみ)トレーナーは、全体練習の1時間以上前から準備に余念がなかった。

「これまでは選手個々の課題に応じたメニューを組んでいましたが、このキャンプではチーム全体のメニューをつくり、取り組んでいます。求めるベースを能力の高い選手のレベルに設定しているので、全体的に運動量が増え、強度は高くなっています。フィジカルの劣っている選手は『きつい』と悲鳴を上げていますが、成長の度合いが数値に表れていることもあり、それがモチベーションになっていると思います」

 橘内トレーナーは「もちろん、すぐに結果は出ません」と言い、こう続けた。

「自分で自分の限界値を設定して、それを壊さないように練習する選手もいますが、フィジカルトレーニングは“破壊と創造”です。今の筋肉に刺激と痛みを与え、それを回復させ、限界値を突破したところで能力が高くなります。今回の試みがうまくいけば、チーム全体の能力が引き上げられるはずです」

 石井琢朗打撃コーチも、“破壊と創造”に似た考えを持っているようだ。たとえば、“マタワリ”と呼ばれ、両足を大きく広げて左右に体重移動しながらボールを打つティーバッティングのときである。設定された数字は160スイング。これを選手たちは20×8や30×5+10というようにそれぞれ消化していくのだが、廣岡大志があと20スイングで終了というときに石井コーチがやってきた。

「おっ、カニ(廣岡)はあと20球か。残りはオレと一緒にやろう(笑)」

 石井コーチが悪魔のように囁き、最後の20球が始まった。

「1、2、3……13、13、13、13、13、頑張れ、カニ! 13、13……」

 このように途中から同じ数字を何度も繰り返し、予定の20球が終わっても終わる気配がない。このキャンプで多くの選手が「刺激ほしくない?」と石井コーチに囁かれ、予定の数を超える回数のバットを振った。それでも選手たちは、限界に見えながらも歯を食いしばり、最後のひと振りを終えると笑顔を見せていた。石井コーチは言う。

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最終更新:2017/12/2(土) 9:56
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