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生活困窮者に「あぶく銭」で増える自己破産 「日本の貧困」はあの銀行が救う?

2017/12/3(日) 19:10配信

NIKKEI STYLE

 「少しお金が借りられれば人生をやり直せるのに」。そんなふうに思ったことのある人に朗報かもしれません。仕事を始めるためのお金を、貧しい人にも無担保で貸す「グラミン銀行」が来夏にも日本に上陸しそうです。

 グラミン銀行は1983年にバングラデシュでムハマド・ユヌスさんという人が始め、ノーベル平和賞を受賞しています。農村の貧しい女性が刺しゅうや竹籠づくりの仕事をして生計を立てるためのお金を無担保で貸したのです。

 米国にも2008年に進出しています。ニューヨークを含め10都市以上で9万人以上に800億円以上を融資しています。ヒスパニック系のシングルマザーが、化粧品販売などの事業を始めるために借りることが多いそうです。

 日本では財務省出身の菅正広・明治学院大学院教授が設立の準備を進めています。金利は検討中ですが、初回の融資額は最大20万円。例えばシングルマザーが家事代行サービスを始めたり、資格をとったりするのに必要なお金を貸します。菅さんは「所得が少ない人で、働く意欲と能力があればだれでも対象になる」と話します。

 生活に困っている人が本当にお金を返すの? そんな疑問も浮かびますが、バングラデシュでも米国でも返済率は9割を超えていると発表しています。実はグラミン銀行でお金を借りるには一つ条件があるのです。「連帯責任」を持つ5人の仲間を集めることです。

 「連帯保証」ではないので互いの借金をかぶるわけではありませんが、一定の不利益が生じる可能性があります。例えば日本では誰かがお金を返さないと他の人への融資が遅れます。5人は近い地域に住み、毎週ミーティングに参加し、お金の使い道や返済状況を報告する必要もあります。「お金を貸して終わり」ではなく、返済まで仲間や銀行が伴走するのです。

 日本では無担保で簡単に借りられる銀行カードローンの利用が急増し、16年は自己破産が13年ぶりに増加しました。生活に困っている人に破産につながるあぶく銭が回っている構図ともとれます。グラミン銀行の試みは、そうした日本の金融に一石を投じるかもしれません。

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最終更新:2017/12/3(日) 19:10
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