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弘法は筆を、ムーアは馬を選ばず。チャンピオンズCを制した超瞬発力。

12/4(月) 11:26配信

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 上半期のダート王が世界の名手に導かれ、師走の頂上決戦で復権を果たした。

 GI馬7頭を含む豪華メンバーで争われた第18回チャンピオンズカップ(12月3日、中京ダート1800m、3歳以上GI)を制したのは、ライアン・ムーアが騎乗した8番人気のゴールドドリーム(牡4歳、父ゴールドアリュール、栗東・平田修厩舎)だった。

 2月のフェブラリーステークスを勝ったあとは惨敗つづきだったが、鮮やかに復活。同一年にフェブラリーステークスとチャンピオンズカップ(前身のジャパンカップダートを含む)を制覇したのは、2000年ウイングアロー、2011年トランセンドに次ぐ史上3頭目の記録となった。

 最後の直線。逃げ込みをはかるコパノリッキーを、1番人気のテイエムジンソクがとらえにかかる。この2頭のワンツーかと思われた次の瞬間、外からゴールドドリームが矢のように伸びてきて差し切った。勝ちタイムは1分50秒1。

理想的な位置を確保し、ガチッと折り合わせる。

 「すごく素質がある馬で、いい状態だと聞いていたので勝てる自信があった。それなりのスタートを切り、いい位置がとれて、スムーズに運べました」とムーア。アルバートで制した前日のステイヤーズステークスから、2日連続の重賞制覇となった。

 「アイスマン」のニックネームそのままに淡々と語るが、ただつかまっていたわけではない。遅れ気味にゲートを出てからゴールドドリームの首を押し、中団のポジションを積極的にとりに行った。

 そして理想的な位置を確保したら、それ以上行きたがらせることなく、馬ごみのなかで折り合いをつけた。「ピタッと折り合った」というより、「ガチッと抑えた」という感じの力業だった。

 コーナリングも見事だった。同じリズムのストライドを保ったまま、コンパスで描いたようにコーナーを回らせた。4コーナーを回り切るときだけ遠心力を生かして外に出し、前が開くと豪快に追い出した。

先行有利の流れを一発でひっくり返した瞬発力。

 2着テイエムジンソク、3着コパノリッキー、4着ケイティブレイブら、先行した馬たちで決着しそうな展開だったが、一頭だけ別次元の末脚を繰り出し、差し切った。

 先行有利な流れだったことは、前半1000m通過61秒6という時計が示している。「ダートでは少しずつギアが上がっていく馬が多いのに、この馬は切れ味がすごい」とムーアが言うゴールドドリームには不向きな流れに思われたが、スローの瞬発力勝負になったことが幸いした。

 褒めすぎかもしれないが、初騎乗でその桁外れの瞬発力を引き出したムーアの騎乗は、見事だったというほかない。

 もちろん、ムーアだけが走らせたわけではない。フェブラリーステークスを勝ったあと、惨敗がつづいたことには出遅れ癖が影響していた。それを矯正するため、ゲート内に縛って動かないようにし、さらにプール調教を併用してリラックスさせるなど、陣営の工夫があった。

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最終更新:12/4(月) 14:46
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