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英国人が見た中国戦「まるで日本のベッカムだ!」「今後も生き残れるのは…」

2017/12/13(水) 10:10配信

フットボールチャンネル

 日本代表は12月12日、EAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会の第2戦で中国代表に2-1で勝利した。東アジアの頂点に近づく2連勝を飾ったが、国内組のみの日本代表は期待に応えるプレーだったのだろうか。この試合中、スタジアムで取材するイングランド人ライターのショーン・キャロル氏に随時話を聞いた。

E-1選手権日程

●「植田が攻撃で何ができるかも楽しみ」「2010年の代表に似ている」

ーー今日のメンバーは3日前の北朝鮮戦からガラリと変わりました。印象はいかがですか?

「今野(泰幸)は何ができるか監督もファンもよくわかっている。もし大島(僚太)、井手口(陽介)、倉田(秋)の組み合わせだと経験が少ないから、ハリルホジッチ監督は今野を2試合続けて使っていると思う。小林(悠)はやっぱり真ん中がいいね。前の試合(9日の北朝鮮戦)で途中から入っていいインパクトを残してチャンスをもらった伊東(純也)は、先発でどんな貢献ができるか楽しみ。彼は基本的に途中から流れを変えるタイプだと思うけど」

ーー鹿島で普段センターバックをやっている植田が右サイドバックに入っていますね。

「中国は北朝鮮よりフィジカルが強い。だから右が植田なのかも。モウリーニョもたまにやるよね。4バックを全員センターバックタイプにする。今回は左の山本(脩斗)もヘディングが強いから、そういう意味もあるかも。ただ、植田が攻撃でボールを持ったときに何ができるかも楽しみ。彼は今日が代表デビューだよね?」

ーーそうですね。

「植田は2015年のアジアカップのときも代表にいて、ずっと出ていなかった。だけど僕は彼のことが結構好きで、評価している。今日は土居(聖真)も山本もデビューだから、鹿島の3人が同時にデビューだね。三竿(健斗)が途中から出れば4人か。鹿島アントラーズの選手たちのモチベーションはどうかな? J1最終節で悲しみを味わった。もちろんピッチに入ったら影響はないと思いたいけど。土曜日にJ1優勝を逃して、月曜日に代表で川崎フロンターレの選手たちに会って、どんな感じだったんだろう(笑)」

ーー今日は北朝鮮戦よりもいい流れですね。

「最初の15分は、北朝鮮戦よりもずっといい感じ。日本が試合を支配しているね」

ーー今日の中盤は今野がアンカー、その前に大島と倉田という形の4-1-4-1にフォーメーションが変わっています。

「W杯も4-1-4-1の方がいいんじゃない? アンカーが長谷部(誠)、その前に山口(蛍)と井手口だね。みんな激しくプレーできて、ボールを奪うのもうまい。さらに井手口がオーストラリア戦のような、山口がイラク戦のようなゴールを決められればいい。なんか2010年の代表に似ている気がする。南アフリカW杯は阿部(勇樹)、長谷部、遠藤(保仁)の組み合わせで、阿部があまり動かずディフェンスの前に構えていた。実際、その前はダブルボランチだったけどあまりうまくいかなくて、大会直前にアンカーに阿部を置くようになってうまくいったのを覚えている。井手口のこれからは移籍にかかっているのかもしれないけど…」

●「井手口はダレン・フレッチャーみたい」

ーー大島が左足を痛めてしまいましたね…。

「あのような怪我はすぐにわかってしまうね。遠い位置からシュートを打つ、というポジティブなアクションを起こした後に痛めてしまうとは…。ハリルホジッチ監督が求めている動きを実践したのにね」

ーー途中出場したのは井手口です。移籍も噂されていますがどんな印象ですか?

「井手口のプレッシングはいいよね。ボールを失ったらすぐ寄せにいく。マンチェスター・ユナイテッドにいたダレン・フレッチャー(現ストーク、スコットランド代表)みたいじゃない? 守備が好き。だいたいサッカー選手はボールを持つこと、攻撃をすることが好きだけど、井手口は守備を楽しんでいるように見える。だからこそリーズに行くのはいいんじゃない? もともと激しいスタイルが持ち味のクラブだし、井手口に合うかもしれない。でもすぐにはイングランドでプレーできないから、オランダとかドイツとか、日本人がよく行くところに行ってもいいかもしれない。技術よりもフィジカルやスピリット、まずは欧州のリズムに慣れないといけないよね」

ーー今日はFWによくボールが入って、小林がシュートを打つ場面も多くなっています。

「北朝鮮戦と比べたら攻撃は今日の方がいいね。ワイドプレーヤーのおかげかもしれない。土居もポジティブなプレーをしている。前を向くのもスムーズだしね。小林と倉田という中央のコンビも、これまでと違ってなかなかいい。シュートのチャンスも多い」

ーー中国は韓国戦に比べてあまり元気がないように見えます。

「日本のディフェンスがよく守っているよ。韓国はバラバラだったからやられてしまった」

ーー前半は0-0で終了しました。いかがでしたか?
       
「北朝鮮戦より今日の方がいい。まだ本当の出来ではないけど、ディフェンスも安定している。攻撃でもチャンスを作れそうで、北朝鮮戦にはあまり見られなかった形ができている。後半もこれを続けられれば絶対に点が入ると思う。中国もボールを持つ時には攻める意思を見せるから、すぐにボールをサイドに出すけど、しっかり守れていると思う。日本はカウンターでもっとチャンスを作れるはずだよ」

●「昌子はまだリーダーになれていない」

ーー前半はあまり動きがなく0-0でした。後半、日本はどうしていけばいいでしょうか?

「このまま続ければいいと思う。日本の前半はだいたい静かだし、パニックにならずに続けること。土居も伊東もいいプレーができているから、サイドを生かしたい。中国の攻撃はあまり怖くないので、ディフェンスは今まで通りで大丈夫だと思う」

ーー後半も開始早々にチャンスが訪れました。

「両サイドに伊東、土居というウィンガーとして起点になれる選手がいるから、そこに出せば形になる。北朝鮮戦は小林と倉田が両サイドにいたけど、彼らはもともとウィンガーではないし、やっぱり中央でプレーした方が生きるね」

ーー昌子の背中をとられて大ピンチになってしまいました。

「昌子の周りは今日が全員がデビューだよね。彼はそれで責任を感じているかもしれない。普段は吉田(麻也)がいて、彼がリーダーをやってくれるけど、今日はそうはいかない。昌子がリーダーになって周りの選手を動かしたり、カバーしたりしなければいけない。それでいまのようなミスが起こってしまったのかもね」

ーー昌子はこれから日本代表の競争の中でどんな存在になっていく必要があるのでしょうか?

「昌子はリーダーになれないわけではないけど、センターバックとしてまだピークにきているわけではない。それは5年先くらいだと思う。まだ日本代表ではリーダーにはなれていないかな。鹿島ではリーダーかもしれないけれど、いまはそれよりも周りの選手のことを考えなければいけない状況。4バックのうち3人は鹿島の選手でも、うち2人は今日が代表デビューで、植田は本来のポジションではない。昌子は色々考えなければいけないはず。彼のマンツーマンディフェンスは問題なくいい。だけどラインコントロールとかはまだまだ。いまの状況を見ても、ディフェンスラインが完全に揃っているとは言えないよね」

ーー植田が鋭いクロスを送りましたが、中央でうまく合わず。あんなアイディアを持っているとは…。

「でもいいクロスかどうかは微妙なところだね。確かにGKの前に速いボールを送るのはいい選択だけど、しっかりFWがリスクを負って入ってきていなければいけない。いまは誰にも合わなかった」

ーーまた井手口がペナルティエリアの外からミドルシュートを打ちました。

「また狙ったね。いいんじゃない? フランク・ランパードも完全にゴールに入るわけれはないけど、DFに当たったり、GKがミスするかもしれないという場面でよくシュートを狙っていた。それでいくつものゴールを決めていたよね。W杯ではペナルティエリア内でチャンスが生まれることは少ないだろうし、外からシュートを打っていく姿勢はとてもいいと思う」

●「ありえない!ベッカムっぽい!本当にすごいゴール!」

ーーあと20分です。ハリルホジッチ監督はなかなか動きませんね。

「すぐ交代した方がいいね。入れるとしたら川又かな。本当のセンターFWが少ない。金崎(夢生)もいいけど、北朝鮮戦は川又が入ってチーム全体が良くなった。交代カードを切ってもいいタイミングだと思う」

ーー誰か呼びに行きましたね。

「川又(堅碁)だね。交代は伊東? 小林がワイドに行くのかな…いや、2トップだ。たぶん前の人数が少なすぎた。小林が1人で攻めなければいけないこともあったし、川又と2人でもっとダイレクトなコンビネーションを見せられればゴールに近づけると思う。伊東を下げたのは倉田の方が守備で信頼できるからじゃないかな」

ーー山本はA代表初キャップでも安定しています。

「もう32歳でしょ? 全然ビビるわけないね。若い選手は代表にもっと呼ばれるようアピールしたいだろうけど、彼はもう若くないから、このチャンスを楽しみたいはず。経験もあるし、ゲームに入ればいつも通りのプレーを見せられる。もちろん彼と昌子は鹿島でもやっているから、ユニフォームの色が変わっただけで何も問題はない」

ーー小林がついに代表初ゴールを決めました!

「また最後の方! 川又が粘って、小林が押し込んだけど簡単ではないゴールだよ。冷静だった。2トップになって、2人の距離が近くなったことが良かった。さすが得点王。彼も何回もキャンプに参加したくても怪我をして諦めたことがあった。やっとの初ゴール、よかったね。今季は優勝もあって、Jリーグの得点王も、代表初得点もあって、最高の1年になったんじゃない?」

ーー日本が先制しました。残り5分はどうすればいいでしょうか?

「引いて守ってはダメだけど、ボールを持ったら攻め急ぐ必要はない。中国にボールを渡さない。セーフティーなプレーを選び続けていけばいい。北朝鮮戦よりは良かったけど、これも決して完璧なゲームではなかった。きれいな試合がいつもできるわけではないし、W杯もそうなると思う。チャンスが来た時にしっかり決めること、これが一番重要だね」

ーーすごいシュートが決まりましたよ!

「ありえない! 昌子すごすぎる! このテクニックはデイビッド・ベッカムっぽいね! 彼もハーフウェーライン近くからよくゴールを狙っていた。昌子も完全に狙って蹴っている。本当にすごいゴールだよ!」

●「W杯で同じようなことは許せない」「今後も生き残れるのは…」

ーー最後、PKを与えてしまいましたね。試合の終わらせ方というのは難しい。

「まあ、たまにそうなるね。中国は失うものがなかったのでより攻撃的になって、山本のちょっとぎこちないファウルでPKになった。もちろんW杯で同じようなことは許せないけど、W杯だったらもっと集中すると思うから問題ない」

ーーひとまず勝利という結果を得られました。今日の試合全体を振り返ってください。

「全体的に悪くなかったと思う。レギュラーじゃないメンバーが多かったけど、守備も攻撃も北朝鮮戦より良かった。だいたいの時間で主導権を握っていたし、デビューした選手は冷静にプレーできていた。そして、日本は普段チャンスが多いのに得点が少ないけど、今日は逆だったね。ビッグチャンスが少なくてもしっかりとゴールを奪えた。2点取って勝ったことが重要なのは間違いない。W杯では無失点に抑えるのは非常に難しいので、複数得点が必要かもしれないよね」

ーー今後もA代表に生き残っていけそうな選手はいましたか?

「このメンバーからは中村(航輔)、昌子、井手口、今野、伊東、倉田、小林、川又あたりかな。土居にも可能性があると思う。もちろん絶対にロシアW杯へ行ける保証はないけれど、彼らにはもっとチャンスが与えられると思う」

ーー井手口は他の選手とオーラが違ってきましたね。

「本当にそうですね。今は自信に溢れている。もしこの自信をW杯まで持っていければ、チームにとって本当に大事な存在になると思う」

ーーあえて今日の日本の改善すべき点を挙げるとすればどこになるでしょうか?

「うーん…あえて言うなら、ディフェンスラインの組織は微妙だった。中国より強い相手ならば危なかったかもしれない。しかし、今日のディフェンスの4分の3はデビューだったからしょうがないかな。そして4分の1は日本のベッカムだった(笑)」

ーー次は優勝を決める日韓戦ですね。勝つために必要なことは?

「僕はいつも言っているのでつまらないかもしれないけど、集中力と自信です。日韓戦は決勝戦になるのでちょっとした差で決まる。それぞれの選手が自分の役割をしっかりと理解しないといけないし、ライバルには絶対負けられない。次の試合が楽しみだね!」

ーー楽しみですね! 今日もありがとうございました。

ありがとうございました。お疲れ様でした!

▽語り手:ショーン・キャロル
1985年、イングランド生まれ。2009年に来日。「デイリーヨミウリ」「Jリーグ公式ウェブサイト」などにも寄稿。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパーのJリーグ番組出演も。

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