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なぜ「内輪もめ」は長引くのか 相撲とヤクザとジャニーズと

2017/12/16(土) 17:00配信

文春オンライン

 フリーライター鈴木智彦によれば「暴力団抗争は内輪もめの際に限り、長期・激化する」(注1)という。なぜなら組織同士がもめると近隣組織が仲裁にはいるが、内部抗争の場合、よその組が口出しすると内政干渉になるため、仲裁もなく、いつまでも続いてしまう。そして内部抗争の主な理由は跡目争いである。

八角親方の妙技あっての人事抗争劇

 今週の文春トップ記事は「貴乃花が許せない相撲協会“三悪人”」。内部抗争真っ只中の大相撲界の特集である。当時の横綱・日馬富士による貴ノ岩への暴行事件をきっかけに、八角理事長を中心とする日本相撲協会と貴乃花親方の対立が激化。記事では貴乃花が許せないという「三悪人」、八角、尾車親方、白鵬との裏事情を明かす。

 ここでまとめられる、ここ数年の日本相撲協会内の人事抗争劇が面白い。

「北の湖さんが描いていた協会の将来像は、『八角を次期理事長に、一期か二期務めた後、いずれは若い貴乃花に禅譲させる』というもの」。大横綱だった北の湖の理事長体制のもと、ナンバー2の事業部長に八角、ナンバー3の総合企画部長に貴乃花が就く。北の湖は現役時代のガチンコ相撲で貴乃花を評価し、将来の理事長にと帝王教育を施す。

 ところが2015年11月、北の湖は死去。八角が理事長代行となる。

 八角が北の湖から引き継いだ任期の残りは3ヶ月。ここで勝負に出たのか、すぐさま理事長に格上げか、理事長代行続行かの投票に持ち込む。どのみち程なく理事長選があるのだからと、貴乃花は「続行」を主張するが、結果、6-5の1票差で八角は理事長の座を得る。そしてナンバー2の職に「相撲界随一の知略家」尾車親方を指名するのであった。

 見事である。

まるで山本広がやり損ねたことを、八角は一気にやったかのようだ

 よく似たケースに、山口組の跡目争いがある。大親分・田岡一雄の没後、組長代行に就いた山本広と若頭の竹中正久のあいだで跡目争いとなる。山本は多数決に持ち込めば勝てると踏んで組長を決める札入れを目論んだり、「山本広がワンポイントで組長に就いて数年後に、若い竹中に禅譲する」などの懐柔を模索したりするが、すべてハネつけられ、そうこうするうち、竹中の巻き返しにあい、跡目を逃す。

 まるで山本広がやり損ねたことを、八角は一気にやったかのようだ。その後の理事長選では、ふたたび八角と貴乃花が争い、今度は6-2で八角が圧勝する。「代行」が付いたままでは、結果が違ったかもしれない。政治の才能と言える。

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最終更新:2017/12/16(土) 20:45
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