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AIは著作権者になれるか―― 人工知能が生み出した創作物は誰のもの?

2017/12/18(月) 11:40配信

デイリー新潮

 様々な分野で人間の能力を凌駕しつつあるAI。そんなAIが人智を超えた発明や芸術作品を生み出したら――。われわれは「彼ら」に権利を認めるべきなのか。(以下、「新潮45」2018年1月号「AIは著作権者になれるか」(白坂一・著)より抜粋、引用)

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 AI(人工知能)の進化が止まらない。

 昨年3 月と今年5月、グーグル社傘下「ディープマインド社」の囲碁対戦プログラム「アルファ碁」は、かつて世界最強とも称された韓国のイ・セドル九段や、中国のトップ棋士・柯潔九段を立て続けに撃破して話題を攫った。他のテーブルゲームと比較して囲碁はコンピュータが探索する情報量が圧倒的に多いため、人間に勝利することは難しいと言われてきたが、そんな固定観念が一気に吹き飛ばされた格好だ。しかも、最新のアルファ碁はたったの3日で一流棋士の20年分に匹敵する知識、経験を習得するという。

 このようなアルファ碁の大勝利、さらには日本における将棋ソフトの活躍が、AIの進化を人々に強く印象づけているのは間違いない。(中略)

 弁理士としてAI技術の特許取得を担当し、AIを用いたサービスでナスダック上場を果たした筆者は、AIの進化をつぶさに見つめてきた。そんな筆者がいま最も関心を抱いているテーマ、それは「AIによる創作活動」である。

 より端的に言えば、AIは芸術家や発明家になれるのか――、ということだ。

 アート作品の創作は人間にしかできないという認識がいまだに支配的である。

 しかし、発展途上というレベルながら、AIは音楽や小説、絵画を人間の指示無しに自動で創作している。

 たとえば、AIは作曲家になれる。

 スペインのマラガ大学が開発した作曲するAI「ラムス」は、人間の専門家が介入することなく、クラシックミュージックをわずか8分で作曲することができる。それも、人間とは異なる感性で独特の表現をすることができる。すでにその楽曲をオーケストラが演奏したCDも販売されている。筆者もその音色を聴いたのだが、少なくとも、AIが作曲したとは思えないほど素晴らしい楽曲だった。もしかすると、モーツァルトやベートーヴェンを超える存在になりうるかもしれない。そんな期待すら感じさせる。(中略)

 また、AIは小説家にもなれる。

 公立はこだて未来大学の松原仁教授が、AIを用いた「短編小説執筆プログラム」に作品を「執筆」させ、星新一賞に応募した。残念ながら入賞は逃したものの、人工知能が小説を執筆できることを証明してみせた。

 そして、AIが絵画の先生になれることも話題になっている。

 アドビシステムズ社は10月19日、人工知能を搭載する「Adobe Sensei」という新ソフトウェアを用いて、未来の画像編集加工の技術を公開した。「Sensei」とは、日本語の「先生」に由来しているという。「Sensei」は音声操作で画像処理を行うことを可能とする。たとえば、ロケットや宇宙飛行士のスケッチを描き、「イメージ(画像)を探して!」というと、AIが最適な宇宙の画像を探索してくれる。さらに、AIは画像から人物だけを抜き出し、角度を変えたい時には、その人物の別角度の画像を探してきてはめ込むこともできる。AIが人間の負荷を軽減するだけでなく、様々な視点を提示することで、今までにない創造性を引き出すきっかけを与える。まさに「先生」と呼ぶべき存在であろう。これなどは人工知能と人間の共創時代の幕開けを感じさせるニュースだ。

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最終更新:2017/12/20(水) 15:05
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