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過去最高級の数字も…評価が釣り合わないマンU。2年目のモウリーニョが植えつける闘争心

2017/12/20(水) 10:30配信

フットボールチャンネル

 第18節を終えたイングランド・プレミアリーグで2位につけているマンチェスター・ユナイテッド。マンチェスター・シティ勝ち点11の差をつけられているとはいえ、例年を基準に見ればユナイテッドの成績も目を見張るものがある。これまで率いたクラブでは2年目にタイトルを取り続けてきたモウリーニョだが、“赤い悪魔”の監督としてもそのジンクスを続けられるか。(文:山中忍【イングランド】)

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●ファーガソン体制後、過去最高クラスの戦績

 例年通り、何かと下馬評通りには事が運ばないプレミアリーグ。今季開幕前との違いの1つが、ジョゼ・モウリーニョ2年目に対する期待の収束だ。

 監督として第一線で名を成して以来、就任2年目には100パーセントの確率で国内タイトルを獲得してきた指揮官の存在は、間違いなく今季のマンチェスター・ユナイテッドが優勝の有力候補と目されていた要因の1つだった。

 2期に及ぶチェルシー時代も例外ではないモウリーニョは、ポルトとインテルでの2年目には、CL優勝まで実現しているのだ。

 では、「2年目だから」という期待が薄れる一方のモウリーニョのユナイテッドがダメなのかと言われれば、筆者は「ノー」と答える。

 やはり就任2年目で、補強に費やした予算の規模も同規模のマンチェスター・シティを、開幕から無敗で首位を爆走する集団に変えたペップ・グアルディオラの手腕は認めなければならない。

 だが、シティの指揮官は、1年目の昨季は無冠でも許され、2年目に向けての補強が自身とクラブに共通の哲学に沿って、ほぼ完璧に進んだ。

 対するユナイテッドの指揮官は、CL復帰がノルマだった昨季には、途中からプレミア優勝争いを捨ててCL出場権が得られるEL優勝に向けた戦い方を選ぶことになり、今季も、クラブ伝統の攻撃路線と自身が信じる堅守路線とのバランスを計りながら、各スタイルに向き不向きのある既存戦力と新戦力をミックスして結果を重ねている。

 その結果も、悪くはないどころか、「良い」と言えるレベルにある。18節を終えて13勝3敗2引分けという成績は、アレックス・ファーガソン体制後のユナイテッドでは過去最高の前半戦。同様に、計39得点は過去最多で、計12失点は過去最少の数字だ。

●白旗を上げなかったモウリーニョ

 開幕18戦で41ポイントのペースで勝ち点を重ねれば、最終的には87ポイント。過去4シーズンのうち3シーズンでは、プレミア王者となっているポイント数を稼ぐ計算になる。

 そう考えれば、当のモウリーニョが「もう少し我がチームを評価してもらいたいものだ」と不満を漏らしたくなる気持ちも理解できる。

 例えば、手堅い勝利として片付けられた感のある、10節トッテナム戦(1-0)。その2週間前にリバプールとスコアレスドローを演じてもいたユナイテッドには、慎重な戦い方に対する批判さえあった。

 だが実際には、勝ち点では並んでいた2位対3位という、優勝争いにおけるライバル対決での価値ある零封勝利だった。

 対戦当時のトッテナムは、ユナイテッド戦の前後に、プレミアではリバプールから4得点、CLではレアル・マドリーから3得点を奪って勝利してもいる。先の18節でシティに完敗(1-4)して7位に落ちたトッテナムとは、自信も勢いも違っていたチームから、ホームで狙い通りに勝ち点3を奪ったはずなのだ。

 ユナイテッド自体は、16節でのマンチェスター・ダービーでシティに敗れてはいる(1-2)。巷では、優勝はシティの物という見方がさらに強まることになった。しかしモウリーニョは、一般的な見方を受け入れようとはしなかった。

「判定にも恵まれているようだから、ひょっとすると」といった言い方には好き嫌いが別れるが、ユナイテッドのファンにすれば、首位との差が11ポイントに開いたとはいえ、12月の時点で地元ライバルでもあるシティとの優勝争いで白旗を上げるような監督などご免だろう。

 試合後の控え室で音楽を大音量で鳴らして勝利に沸くシティ陣営を「敬意に欠ける」と非難した発言も、ユナイテッド指揮官として、「思い上がるな。勝負はまだ終わっていない」と告げているようにも受け取れた。

●執念にも似た闘争心を植え付けているのか

 実際、ユナイテッドの選手たちも、それを発奮材料として最後まで闘う決意を強めたかのように見受けられる。

 チェルシー第1期のモウリーニョは、周りからは「金でタイトルを買った」と詰られ、メディアでは「サッカーがつまらない」との声が増す中で、チーム内に「オレたち対ヤツら」という対抗意識を生み出して戦闘意欲を駆り立て、余裕とも言えるプレミア連覇を実現した。

 同じように2年目のユナテッドでも、若手も増えたチームに、執念にも似た闘争心を植え付けようとしているのではないか?
 
 ユナイテッドは、敗戦がショックでなかったはずのないシティ戦後、再び連勝街道に軌道を戻している。これもまた、格下相手の辛勝とみなされてはいるが、ともすればモチベーションを上げにくい、ボーンマス戦(1-0)とウェストブロミッジ戦(2-1)で結果をものにした。

 1得点ずつを上げた24歳のエース、ロメル・ルカクは、かつてのレンタル移籍先だったウェストブロミッジとのアウェイゲームだけではなく、ボーンマスとのホームゲームでもゴールを祝いはしなかった。「まだまだこれから」と自分自身に言い聞かせると同時に、「ヤツら」への無言のメッセージなのかもしれない。

 もちろん、シティの断トツぶりを考えれば、逆転優勝が実現する可能性は極めて低い。だが、可能性はあるわけであり、開幕前の優勝候補勢の中で、最も追撃に現実味があるのはユナイテッドだ。

 後半戦になれば、タイトル獲得へのルートにFAカップが加わり、CL決勝トーナメントも始まる。セビージャとの16強をクリアして欧州戦でのマンチェスター・ダービーでも実現すれば、結果重視のモウリーニョ流が改めて「さすが」と言われる展開にならないとも限らない。シーズンは、まだ折り返し地点に差しかかるところ。モウリーニョ2年目のユナイテッドも同様だ。

(取材・文:山中忍【イングランド】)

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