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箱根駅伝「薄底vs.厚底」靴の知られざる闘い

1/2(火) 8:00配信

東洋経済オンライン

 そして、ほかの選手も真似するようになりました。価値観が変わり始めたわけです。箱根駅伝の長距離20kmを59分台で走るために、あの厚底は適した靴なんじゃないのか、と。

 ――では箱根駅伝でも、多くの選手がヴェイパーフライ4%で出て来る可能性があると? 

 そうですね。ただ、この靴は両刃の剣でもあります。自分がそれまで積み重ねてきたフォームが崩れますから、誰にでも合うわけじゃない。この靴で試合に出るなと指示した大学もあると聞きました。しかし、選手によっては履いてきますし、1区間20km以上という長距離でも、この靴ならダメージが少ないということがすでに証明されています。

 面白いのが、優勝候補と言われている青山学院大学は、ほぼアディダスなんですよね。先ほどの三村仁司さんが考えた走り方の靴なんです。そのために泥臭い練習をずっと積み重ねてきてもいます。

 東洋大学は、ヴェイパーフライ4%を取り入れたトレーニングによって、上位食い込みも「あり得るんじゃないかな?」というところまで来ている。ほかの強豪も力を伸ばしてきていますし、今年の箱根駅伝は、どこが勝つかわからないという面白さがありますよ。

 これまでは、青山学院大学を止める方法がなかったんです。なにかを誰かが変えないと、止められない。そこに出てきたのがこの靴です。

 青学が「青トレ」という体幹トレーニングによって、故障が減り、継続して練習ができることになったおかげで選手が底上げされ、箱根に勝つようになったように、東洋大は、厚底靴に代表される走り方を会得して、故障せずに長く速く走って勝つという方向に向かっているのかもしれない。

 日本では、「ブレイキング2」はあまり話題になりませんでしたが、やはり今回は凄い。バスケットシューズにエアが入ったときと同レベルのイノベーションです。ナイキとしては、箱根駅伝が日本で一番PRになる場だと考えていると思いますし、今回を機に日本でもフィーチャーされるかもしれません。

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