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欧州予選10戦10勝、進化する前回王者ドイツ。最強の“パーフェクト・フットボール”【ロシアW杯全32チーム紹介】

1/9(火) 10:50配信

フットボールチャンネル

 6月14日に開幕する2018FIFAワールドカップロシア。グループリーグの組み合わせも決定し、本大会に向けて期待感は高まるばかりだ。4年に一度開催されるサッカーの祭典には各大陸予選を勝ち抜いた32チームが参加する。フットボールチャンネルでは、その全チームを紹介していきたい。今回は前回優勝国のドイツを取り上げる。(文:本田千尋)

【2018年ロシアW杯】グループリーグ組み合わせ

●弱点らしい弱点は見当たらず

【ドイツ代表】
FIFAランキング:1位(2017年12月)
監督:ヨアヒム・レーブ(2006年~)
17大会連続19回目の出場
最高成績:優勝(1954年スイス大会、1974年西ドイツ大会、1990年イタリア大会、2014年ブラジル大会)
欧州予選グループC 1位通過

 2006年7月にドイツ代表監督に就任して以来、10年以上にわたる長期政権を続けるヨアヒム・レーヴ監督。ノルウェーやチェコ、北アイルランドと同居したロシアW杯欧州予選グループCを“10戦10勝”と圧巻の戦績で首位通過した。

 同じグループのサンマリノやグループGのリヒテンシュタインなど、欧州予選で“10戦全敗”したチームは数あれど、“10戦全勝”したチームはドイツのみである。

 43得点4失点の成績が示すように、ロシアに至る道程で、ドイツ代表はまさに“パーフェクト・フットボール”を披露。レーヴ監督が選択する基本布陣は[4-2-3-1]、もしくは[3-4-2-1]。優勝したW杯ブラジル大会、ベスト4に終わったEURO2016に引き続き、ポゼッション・スタイルを追求している。

 攻撃時には左右両サイドバック、ウイングバックが高い位置を取り、全体を押し上げて敵陣に人数を掛けていく。ボールロスト時の高い守備意識も徹底。攻撃時にはボランチに入るトニ・クロースを中心に、少ないタッチ数でボールを確実に回し、ポゼッションを高めていく。

 DFラインからはマッツ・フンメルスが正確なロングフィードを前方に送る。左SBヨナス・ヘクターや右SBヨシュア・キミッヒが、内側にポジションを取ってMF的な役割を果たすことも特徴的だ。そこからキミッヒが味方との連動でペナルティエリア内に進入し、ゴールを奪うこともある。

 アタッキングサードではユリアン・ドラクスラー、メスト・エジル、トーマス・ミュラーらが流動的に動く。サイドに流れて起点になれば、中央に人数を掛け、細かくパスを繋いで崩していく。得点源は誰か特定の選手に頼ることはなく、予選で出場したほぼ全ての選手が、少なくとも1点はゴールを決めている。

 また、レーヴ監督は、“懸念事項”にケリをつけることに成功した。ミロスラフ・クローゼの引退した14年以来、人材不足だったセンターFWのポジションに、ティモ・ヴェルナーが台頭。戦術的バリエーションが広がった。

 マリオ・ゲッツェの0トップに頼りがちだった前線も、爆発的なスピードで裏に抜け出す新参者を起用することで、ダイレクトプレーでさらに敵に脅威を与えることが可能となった。ドイツ代表は、新たな武器を手に入れることに成功したのである。

 そんな“トータル・フットボール”を地で行くドイツ代表に、これと言って弱点らしい弱点は見当たらない。強いて言えば、高い位置を取る両SBの裏のスペースだ。本大会で順当に駒を進め、カウンターを得意とする強豪と当たれば、手を焼くことになるかもしれない。

 前人未到のW杯2連覇を達成するために、まずはボールを奪われた時のリスク管理を徹底したいところだ。

●最低でもベスト4がノルマ。FWにはニューヒーロー誕生の予感

ノルマ:ベスト4
目標:優勝

 ロシアW杯本大会でグループFに入ったドイツ代表は、メキシコ、スウェーデン、韓国と同居。組み合わせが決定した後で、ヨアヒム・レーヴ監督は「特に驚きはしなかったが、このグループは軽く考えてはいけない」と感想を述べた。

「初戦」で当たるメキシコには、“Bチーム”で臨んだ6月のコンフェデレーションズ杯で4-1と勝利しているが、指揮官は北中米の雄の「戦術バリエーションと柔軟性」を警戒。「どのチームにとっても初戦はそんなに簡単ではない」と決して気を緩めない。

 また、スウェーデンと韓国についても、「決勝トーナメントに進むために持てる力の全てを注いでくる」と独自の理論を展開。レーヴ監督は、大会全体を通してチームの状態を上げていくことを考えている。

 2大会連続での優勝を狙うドイツ代表がピークを持っていくのは、決勝トーナメント以降のことだ。コンディションが上がり切っていない状態でグループステージを戦うことは、世界王者であっても「簡単ではない」のだろう。ブラジルW杯ではグループGの第2戦でガーナに苦戦。2-2のドローに終わっている。

 とは言え、ドイツ代表が欧州予選で発揮したパフォーマンスを考慮すれば、グループFは当たり前のように勝ち抜くだろう。目標はあくまで優勝。最低でもベスト4がノルマだ。

 EURO2016を終えて、若手が徐々に台頭。フランスで開催されたビッグトーナメントに招集されたレロイ・ザネやヨシュア・キミッヒだけでなく、同年の8月に銀メダルを獲得したリオ五輪組からは、二クラス・ジューレ、レオン・ゴレツカ、ユリアン・ブラントといった選手たちが代表に食い込んできた。

 コンフェデ組からは、セバスチャン・ルディ、ラース・シュティンドル、サンドロ・ワーグナーといった遅咲きの新参者たちが台頭。11月に行われた親善試合では、負傷離脱していたイルカイ・ギュンドアンが復帰する一方で、マルセル・ハルステンベルクが初招集となるなど、新戦力の発掘はまだ続いている。

 候補者の層は4年前よりも厚い。最終メンバーをどのようにするか、レーヴ監督は、本大会直前までとことん頭を悩ませることになりそうだ。

 そんな中でも要注目は、ティモ・ヴェルナー。16年7月にVfBシュトゥットガルトからRBライプツィヒに移籍すると、堅守速攻スタイルに上手くハマってブレイク。昨季はブンデスリーガで31試合に出場し、21ゴール7アシストと爆発した。

 一瞬でDFラインの背後を取る抜群のスピードはもちろん、決して打点は高くはないが、ヘディングでも得点を決めることができる。21歳の“新型FW”はレーヴ監督に、ポゼッション型だけでなく、状況に応じてはカウンター型の選択も可能にするだろう。ニューヒーロー誕生の予感。来たるロシアの地では、得点王を争っているかもしれない。

(文:本田千尋)

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