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ビットコインに未来はない、主犯なき投資詐欺だ

1/10(水) 12:52配信

ニューズウィーク日本版

<ニューズウィーク日本版1月10日発売号は、「好調」な世界経済の落とし穴をノーベル賞経済学者らが読み解く「THE GLOBAL ECONOMY 2018」特集。この特集から、ビットコインのリスクを論じた記事を転載>

主流メディアもようやくビットコインに注目し始めた。いや、降って湧いた投資ブームで注目せざるを得なくなったというのが実情だろう。

ビットコイン調整の陰で急騰する仮想通貨「リップル」とは

ビットコイン相場は昨年初めから12月半ばまでに1600%超も上昇した。1ビットコイン(BTC)=100ドル強だった時期にまとまった投資をした人たちは、文字どおり億万長者になったことになる。

ビットコインの時価総額は12月には2500億ドルを超えた。年末までには相場は調整局面に入ったものの、今も乱高下が続いている。

12月の急騰をもたらしたのは何なのか。主な要因は、米規制当局がビットコインの先物取引を認可したこと。機関投資家の市場参入が予想され、期待感から現物相場も上昇した。他の国々もこの動きに倣うとすれば、今後さらに巨額の資金が流入するだろう。

そうではあっても、ただのオープンプラットフォームが時価総額で世界屈指の巨大企業と肩を並べるとは一体どういうことなのか。

「バブルにすぎない」──おそらくそれが答えだろう。

ドルであれ、円やポンドであれ、通貨は価値を示す尺度だ。例えば5ポンド紙幣は5ポンドの価値がある商品やサービスと交換できるが、5ポンド紙幣そのものに価値があるわけではない。

ビットコインももともとはそうした機能を持つ通貨として開発された。つまり、1BTCを提供すれば、1BTCの価値がある商品なりサービスを入手できるというコンセプトだ。しかし現実には1BTCを提供すれば1万5000ドルを入手できるという状況になった。その結果、ビットコインは価値の尺度、つまり通貨ではなくなった。通貨であれば、これほど価値が上がれば、今頃は超デフレになっているはずだが、そうはなっていない。

ならば、ビットコインは何なのか。別の資産か。価値を蓄積・保存できるという点では金塊に近いが、金塊のような実体はない。

遅れて投資すれば大損する

ビットコインはシステムだ。資金はそのシステムに流入している。システムの価値は人々の「認識」で決まる。

BTCをドルや円に換えれば、商品やサービスを買える。初期にビットコインに投資した人たちは新参者がどんどん資産をもたらしてくれたおかげで、現時点で換金すれば巨万の富を手にできる。その意味では、ビットコインはポンジ・スキーム、つまり資金を運用せずに、次々に投資を募って利回りを払う一種の投資詐欺のようなものだ。ただし、ビットコインはいわば分散型のポンジ・スキームで、誰かが仕組んだ詐欺ではなく、参加者全体がその仕組みを支えている。

ビットコイン投資がブームになり、ブロックチェーンのことなど理解していない人たちまで参入するようになれば、相場はどんどん上がる。だから市場に参入し始めた機関投資家やプロは、新参者を引き込むためにビットコイン投資は有望だと盛んに吹聴する。

さらに相場が上がれば、初期に投資した人たちはさっさとドルや円などの法定通貨に換えて、ビットコイン・コミュニティーから出て行くだろう。その結果、相場が下がれば、新参組に残されるのは価値のない仮想コインだけだ。これが金塊なら、値下がりしてもアクセサリーにできるだろうが、仮想コインではどうしようもない。

ビットコインには持続可能性や拡張性、情報セキュリティーなど、克服すべき課題が多々ある。しかも、こうした問題を解決した改良版の仮想通貨が次々に登場し、ビットコインは熾烈な競争にさらされている。

ビットコインに未来はない。ブロックチェーンには未来があるが、将来的に仮想通貨市場の覇者となるのはビットコインではない。今のところはまだコミュニティーの初期のメンバーが稼げる余地はあるが、これから入っていけば泣きを見る。ポンジ・スキームの破綻は時間の問題だ。

(筆者が創業したシティーファルコンはフィンテックを活用した投資情報を提供する英スタートアップ企業)

ルズベー・バチャ(シティーファルコンCEO)

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