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井口資仁の感じた「日米メディア」報道の差

1/11(木) 11:30配信

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戦犯を探すかヒーローを探すか

 もう一点、メディアに関しては、その報じ方にも日米の違いを感じています。
 たとえばサヨナラ決着の場面。米国では打ったヒーローにだけスポットライトを当てることが多いような気がしますが、日本では、打たれたピッチャーの表情まで、写真を使ったりしてかなり詳しく扱いますよね。言葉は悪いですけど、「戦犯は誰だ?」みたいな感じに受け取ってしまう選手もいるわけです。

 試合後に出す監督のコメントにも同じような傾向があります。メジャーリーグの監督は、自分の采配について話すことがメインだけれど、日本の場合は、敗因について選手個人の名前が挙がることがある。それが、メディアを通した監督のメッセージだという考え方もあるそうですが、僕はあまり賛成できません。自分の言葉がきちんと伝わればアリだとは思いますが、コメントを切り取られたりして、こちらの真意が選手に伝わらない場合もあるでしょうからね。

 それに、次の日のスポーツ紙に自分の名前が戦犯として掲載されているのを見たら、選手は気分を悪くします。今だったらインターネットがあるから、帰宅するころには、もうそういう記事が上がっている。たとえ、その選手のミスが原因で負けたとしても、それはその選手自身が一番身に染みていることなんです。

 北海道日本ハムファイターズの栗山英樹監督は、負け試合の後、必ずと言っていいほど、「監督の自分の責任」とコメントしています。選手のミスで負けた試合まで「自分が悪い」と言うつもりはないですが、決して選手に責任を押し付けない姿勢は見習いたいです。自分が敗因だと理解している選手も、そこで自分の名前が出なかったことをありがたいと感じるはずですから。

 もちろんいいことばかり報じてほしいわけではありません。日本には日本なりのメディアとの関係があって、その先にいるファンとの関係がある。もちろん選手との信頼関係も必要です。新しい時代のメディアとの関係もしっかり築いていかなければいけないと思っています。

〈明日の質問は…「Q8.日米でプレーされて感じる「野球技術」の差はなんでしょうか?」です〉

構成:田中周治/写真:花井智子

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