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海賊「黒ひげ」が読んだ探検本か、沈没船から発見の紙片を解読

1/11(木) 7:40配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

数センチの紙片から書籍を特定、ロビンソン・クルーソーの元ネタも収録

 悪名高きカリブの海賊「黒ひげ」。その旗艦に乗り組んでいた18世紀の男たちは、どうやら読書を楽しんでいたらしい。

ギャラリー:海賊「黒ひげ」の沈没船から発掘された品々 写真8点

 難破した「クイーン・アンズ・リベンジ(アン女王の復讐)」号から回収された紙片が、1712年に出版された英海軍のエドワード・クック大佐の著書『A Voyage to the South Sea, and Round the World, Perform’d in the Years 1708, 1709, 1710 and 1711(太平洋および世界一周の航海、1708、1709、1710、1711年に遂行)』の一部であることがわかった。

 米歴史考古学協会の年次学会で、クイーン・アンズ・リベンジ(QAR)保存研究所が発表した。

紙片に記されていたヒント

 クイーン・アンズ・リベンジ号は、1718年に現在の米ノースカロライナ州ビューフォート沖で座礁し、黒ひげはその数カ月後、英海軍との戦闘によって命を落とした。海に沈んだ黒ひげの旗艦は、1996年に民間の調査会社によって発見され、その1年後、ノースカロライナ州自然文化財課による調査が開始された。

 QAR保存研究所の修復・保存作業員であるエリック・ファレル氏によると、件の紙片は、2016年に行われた洗浄・保存作業の最中に大砲の薬室から見つかった。濡れたボロ布にくるまれていたという。火薬で黒ずんだ紙は、大砲の砲口を保護するための栓にかませる詰め物として使われていた可能性がある。

 全部で16枚ある紙片は、どれも25セント硬貨(直径約24ミリ)より小さく、そのうち7枚には文字が記されていた。修復作業者がこれを丁寧に開いてみたところ、重なりあった複数の紙のテキストがどれも同一方向に沿って書かれていたことから、これは一冊の本から切り取られたページの一部と推測された。

 調査の結果、テキストには「south(南)」、「fathom(尋=水深の単位)」などの単語が書かれていることが判明、この紙片が海運や航海の本に由来するだろうと考えられた。しかし、QAR研究所の保存・修復作業員であるキンブリー・ケニヨン氏によると、本を特定する決め手となったのは、ある単語だったという。

「重要な鍵となったのは『Hilo(ヒロ)』という単語でした。この独特の言葉はイタリック(斜体)で記されていたため、おそらくは地名だろうと推測できました」とケニヨン氏は言う。

「これは実に幸運でした」

 有力な手がかりを得たQAR研究所は、印刷されたテキストの歴史に詳しい英グラスゴー大学のジョアンナ・グリーン氏に助言を仰いだ。数ある候補地の中から最初に外されたのは米ハワイ州の「Hilo」だった。ここは1778年のジェームズ・クックの探検以前には、欧州の文献には登場しない。次にグリーン氏の指摘により、古い英語の文献で言及されている、南米ペルー沿岸地方のスペインの植民地「Ilo」が検討された。

 この場所についての最も古い文献は、太平洋を航海する最中に「Ilo」の襲撃に参加した英国人の船乗りによるものだ。ケニヨン氏によると、17~18世紀には、スペインの植民地を略奪する話が英国人の間で大いに人気を博していたという。

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