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トヨタのEV本格推進で始まる国内自動車業界の大激変

1/14(日) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 2017年、11月に入ってからトヨタ自動車が立て続けに電動化戦略に関する発表を行うという一大キャンペーンを展開した。2017年11月17日の広州モーターショーにおける中国でのEV投入のアナウンスを皮切りに、11月28日にはEVやFCVに関するコンポーネント技術説明会。12月13日のパナソニックとのEVバッテリーに関する協業の発表。12月18日には、それまでの発表を総括する形でトヨタ自動車寺師茂樹取締役副社長による電動化戦略の発表が行われた。

 ようやく電動化に舵を切ったトヨタ。フォルクスワーゲンに続き、グローバルで2位の自動車メーカーが本格的にEV市場参入を表明したわけで、考えようによっては、グローバル1位2位の表明によって、先行市場で優位を確保していた、あるいはしようとしていた他のメーカーは、戦略転換を強いられるかもしれない。

● バッテリー問題解消がトヨタを決心させた

 2017年広州モーターショーでの発表は、2018年から中国で施行される予定の中国NEV規制(New Energy Vehicle規制)に絡んだものだ。この発表自体は予定調和と言える類のものだったため、あまり大きなニュースにはならなかった。

 なお、中国NEV規制は、中国国内での販売台数の10%をEV、PHV、FCVなどゼロエミッション車とすることを義務付ける規制。米国カリフォルニア州では「ZEV規制」(Zero Emission Vehicle規制)が実施されており、こちらは義務付けられるゼロエミッション車両の区分や販売義務のパーセンテージなどが中国NEV規制とは異なっている。

 トヨタはプリウス以前からEVの研究をしており、トヨタが保有するHV、FCV技術はすべてEVにも容易に転用できること、そして今後電動化シフトを加速させることを改めて主張した。これまでトヨタは「EV化に出遅れた」「いつEVを出すんだ」などと国内外のメディアから散々指摘されてきた。この発表会はあたかも、これらの疑問に答えるかのような内容だった。

 EV技術や自動車業界を継続的に取材していれば、トヨタの電動化技術がそれほど遅れていないこと、いつでもEV製造に取り掛かれる体制を持っていることは理解できるが、それでもEVに対しては戦略をはっきりさせてこなかった。ゆえに多くのジャーナリストは苛立ちにも似た感覚で、トヨタの真意を推し量るしかなかった。

 しかし、12月13日の発表では、「バッテリーという最後のピースが埋まった」(寺師副社長)とし、トヨタは電動化戦略を推し進めることを断言した。前後して公表された目標は2030年までに電動車を550万台規模で生産すること。このうち100万台はEV、FCVにすると明言している。主力はHV、PHVであることに変わりはないが、2050年までには内燃機関のみの車両生産をゼロにすると明言しているので、電動化は本気とみていいだろう。

● 電動車550万台生産が意味するところ

 生産台数と販売台数には若干のずれ、タイムラグなどがある前提ではあるが、ここで前述の550万台、100万台という数字の規模感を把握してみる。トヨタ自動車単体での世界販売台数は約900万台(2016年実績)。2030年の550万台生産という数字は現状の生産・販売台数からの予測ではないとしたが、単純な比較では、現在の販売台数のうち半分程度の台数が2030年には電動車(HV、PHV、EV、FCV)になるということだ。

 また、富士経済の調査によれば2016年のグローバルでのHV販売台数は182万台、PHVは30万台、EVが47万台となっている。2030年の予測値では、HVとEVが各400万台前後でEVの台数がHVを追い越すかどうかという数字になっている。PHVが300万台前後。大まかだがHV400万台、EV400万台、PHV300万台で、合計すると2030年のHVやEVなど電動車の市場規模は1100万台前後になる。

 トヨタの目標と、富士経済の数字とで単純な比較はできないが、規模感としては2030年グローバル電動車市場のシェアの半数程度を、トヨタが狙っていると推測することも可能になる。

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