ここから本文です

「龍角散」復活、左遷された女性開発者が原動力に 役員の強烈なパワハラ乗り越え

1/17(水) 8:12配信

NIKKEI STYLE

 1998年の発売以来、医療・介護の現場から家庭まで幅広く利用されている、龍角散の服薬補助ゼリー。薬を飲みやすくするために開発されたゼリー状のオブラートで、世界35カ国1地域で特許も取得している。福居篤子執行役員が生みの親。一連の開発で多くの賞を受賞する一方、左遷も経験している。逆風にへこたれず、それを力に変えた彼女の実力を見込んで役員へ引き上げたのは、現社長の藤井隆太氏。服薬補助ゼリーシリーズ開発の軌跡を通じ、一時は倒産の危機に瀕した老舗企業を、2人のリーダーはどう蘇らせたのか。証言を基に振り返った。

◇  ◇  ◇

■臨床薬剤師としての病院勤務が原点

 「製薬会社はどうしてこんな飲みにくい薬を作るのだろう?」。龍角散執行役員の福居篤子氏は臨床薬剤師として病院に勤務していた頃、よくそんなことを思っていたという。

 薬が嫌だ、飲みたくないと思っても、患者は遠慮して医者には本音を言えない。勝手に服薬をやめてしまう人もいて、福居氏は考えた。「一度、作る側に回ってみようか」――。

 龍角散に入社した91年は、ちょうど現在の本社ビルと研究開発施設を備えた工場が完成した年だった。建物が新しくなっても、社内はまだ旧態依然としていた。縦割りが強かった生産・開発部門に横串を刺すことを期待されて入社した福居氏は早速、そんな古い企業体質とぶつかった。

 「機械に触れようとすると、『その機械はちょっと……』と止められる。『危ないから』と説明され、『大丈夫ですよ』と答えると、『壊れたら、ネジなどたくさん出てきて大変だから』と。『私、機械をいじるのも好きですから』と答えると、困ったような、あきれたような顔をして去って行かれる――というようなことが何度かありました」

 社内には当時、女人禁制の部屋や女性が触れてはいけない機械があったという。中途入社の福居氏はそれを知らないままに行動し、あちらこちらであつれきを起こしていた。「同期の男性と同じ成果を出しても全く評価されない。手柄を横取りされるようなこともあり、一時は真剣に辞めようかと思いました」と、当時を振り返る。

1/4ページ

最終更新:1/17(水) 11:02
NIKKEI STYLE

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ライフスタイルに知的な刺激を。
生活情報から仕事、家計管理まで幅広く掲載
トレンド情報や役立つノウハウも提供します
幅広い読者の知的関心にこたえます。