ここから本文です

デキる人は「質問するだけならタダ」と考える

1/19(金) 8:00配信

東洋経済オンライン

「ドイツ人に生産性の高め方を学ぶ」シリーズ記事の第4回。ドイツで通算20年のビジネス経験を持つ隅田貫氏(著書に『仕事の「生産性」はドイツ人に学べ』がある)が「ドイツ人のコミュニケーション」を紹介します。

 ドイツのスーパーでは、レジが何台もあるのにたった1台しか開いてない、というのはよくある光景です。ほとんどのお店が日曜日には開いていないので、土曜日は決まって長蛇の列ができます。そんな状況でもレジ係は気にせず、知り合いが並んでいたら「今日は寒いわねえ」などとおしゃべりをしながら、のんびりとレジを打っているのです。

 私はドイツに住み始めたばかりのころはイライラして、よほど「ほかのレジも開ければいいんじゃないですか?」と言おうかと思いました。ところが、並んでいる買い物客は、誰も文句を言いませんし、不満を感じている雰囲気でもない。

 店員のほうも「並んでいるお客様の気持ちを考えて……」などの忖度(そんたく)はしませんし、客側もそれを受け入れているのです。

■「質問はタダ」と考える

 一昔前ならほとんどの人が読めなかった“忖度”という言葉が、日本では今や流行語になってしまいました。

 日本の社会では、気配りや忖度、思いやりなどが美徳の1つと考えられています。相手の気持ちや言葉の裏にあるものを推し量って、便宜を図るのが、気が利く人、空気が読める人として評価されます。反対に、思ったことをすべて口に出してしまう人、俗に言う「ひと言多い」人は、デリカシーがない、無粋などと嫌がられることも多いようです。

 丁寧な気配りや思いやりはもちろん、これはこれですばらしい日本の価値観です。日本のおもてなし文化のサービスとして成功しているところもあるでしょう。しかし、ビジネスにおいては忖度の行きすぎが、仕事の効率化を妨げ、生産性を下げる原因になります。

 忖度がマイナスに働いてしまうのは、過剰な忖度によって、結果的に仕事や手間が増えてしまうからです。たとえば、「もしかしたら上司に聞かれるかもしれない」と、市場のデータや他社の成功事例、過去の取引先の実績などを徹底的に調べて会議に臨むのも、過剰な忖度といえるケースもあるかもしれません。

 ドイツであれば、もしそのようなデータが必要なら、あらかじめ調べておくよう、上司と部下、同僚同士でクリアな会話があります。

1/5ページ