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成層圏からスカイダイヴィングした男は、いかに「音速」を超えたのか

1/21(日) 12:11配信

WIRED.jp

オーストリアの恐れを知らないスカイダイヴァー、フェリックス・バウムガルトナーの驚くべき偉業から5年が過ぎた。2012年10月14日、彼は高度約39km(約39,000m=成層圏)からの自由落下によるダイヴィングで、音速の壁を超えることに成功したのだ。その速度は、なんと時速1,342kmだった。

【動画】なんともクレイジーなスカイダイヴィング

そしていま、この偉業がいかに可能になったのかを探求したのが、ウルリッヒ・ヴァルター率いるミュンヘン工科大学の研究者チームである。彼らはバウムガルトナーのばかげたダイヴを、不規則な形状の物体がどのようにしてこれほど速い速度に到達できるのかを研究するために利用した。

そして、『Plos One』で発表された彼らの発見は、同様にばかげたものだった。さまざまな装備を背負ったスカイダイヴァーは、滑らかで均整のとれた物体よりも速く落下するというのだ。

表面が滑らかな物体よりも速く落下した理由

それにしても、防護服とバックパックを装備したアスリートが、どうすれば均整のとれた形状で表面が滑らかな物体より速く落下できるのだろうか。

「滑らかな物体の流体力学に基づくわたしたちの計算が示唆しているのは、バウムガルトナーが音速のバリアを越える、つまりマッハ1(マッハは流体のなかで動く物体の速度と、同じ流体のなかでの音の速度の比率を指す)、もしくは時速約1,200kmより速く落下するには、高度約37kmからジャンプしなければならなかっただろうということです」と、研究チームは説明している。「しかし実際には、バウムガルトナーはずっと速い速度のマッハ1.25に到達しました」

技術的な話をすると、音速のバリアに近い遷音速(つまりマッハ0.7から1.3まで)における流体力学の計算は、それほど簡単ではない。というのも、さまざまな物理現象が重ね合わされるからだ。

マッハ0.7から1.3の範囲では、動いている物体の周りの空気の流れにもはや柔軟性がなく、むしろ硬直している。ここから、衝撃波が形成される。これが乱流を生み出し、乱流はエネルギーを吸収して、結果として音速近くの速度における流体力学的な抵抗の増加をもたらす。

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最終更新:1/21(日) 12:11
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