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みま、みう、1年後の全日本での明暗。 2人の卓球の何が変わったのか

1/23(火) 11:20配信

webスポルティーバ

 卓球全日本選手権でミックスダブルス、ダブルス、シングルスの3冠を達成し、満面の笑みを浮かべた伊藤美誠(みま)。「優勝する」という強い意志と厳しい練習で培った自信がプレーに溢れ出ており、勝つべくして勝ったという優勝だった。

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 一方、2連覇を達成できず、準優勝に終わった平野美宇(みう)。

 勝者と敗者に宿る表情はいつも対照的だが、この日のふたりはその落差がとりわけ大きかった。

 平野は昨年の大会で石川佳純を破って初優勝を果たし、今大会も初戦を4-0のストレート勝ちで上々のスタートを切った。しかし、その後は準決勝まで3試合連続でフルセットの接戦を演じ、辛うじて勝った試合ばかりだった。とりわけベスト16の松澤茉里奈(まりな)との試合は7ゲーム目12-10にまでもつれ、平野が負けていてもおかしくない内容だった。

「みんなのレベルが上がっていますし、みんな、私の卓球を知っているので簡単に勝てる試合はないです。それでも競り合って勝てているのは、優勝した経験があるので落ち着いて戦えたからだと思います」

 準決勝の後、平野は表情を変えずにそう語った。

研究されてもそれを乗り越えるための練習をしてきたという。しかし、プレーからはそう感じられない。ここぞという時に一瞬、スイッチが入ったように強烈なスマッシュを決めたりはするが、続かない。調子について聞かれても「悪いとは思っていない」と不調を否定した。

すべての選手の目標になり、追われる者のつらさ、厳しさを今大会、肌で感じていたのかもしれない。だが、それにしても前回優勝時のような勢いがなく、表情に覇気がない。明るく元気に「優勝したい」と口癖のように語っていた頃とは、なんだか別人のようだった。

 決勝戦で伊藤に圧倒され、敗れた後の記者会見で平野は、こういった。

「(大会が)始まる前から自信がなくて……。優勝したい気持ちがあったんですけど、ここまで来られると思っていませんでした」

 自信がないというのは、昨年後半以降の成績の推移を見れば、理解できる。

 平野は昨年の全日本選手権で優勝後、アジア選手権の準々決勝では世界ランキング1位の丁寧(中国)を破り、優勝した。続く世界選手権でも3位になり、銅メダルを獲得した。そこまではよかったが、その後は「美宇の卓球」を研究され、持ち味である素早く強烈なバックハンドなども対策を練られ、勝てなくなった。

 昨年12月に行なわれたワールドツアーグランドファイナルでは1回戦負けを喫し、その悪い流れのまま今大会に突入してしまったのだろう。最後に「自信がなくて……」と語ったのは、昨年からの勝てない流れを今も引きずり、自分の中でどうすべきか消化し切れていないことで漏れた、悲痛な心の叫びだった。

 一方、優勝した伊藤は気迫と自信に満ちていた。

 昨年は5回戦で敗れ、肩を落としたが、今大会では4回戦を4-2、5回戦ではカットマンの橋本帆乃香を4-0、準々決勝の石垣優香には1ゲーム目を落とすも修正し、4-1で勝利。石垣は「(伊藤選手は)非常にうまいですし、2ゲーム目から何もできないように対応してきた」と、伊藤の技術の高さと対応力に脱帽していた。

 準決勝の石川佳純との試合も1ゲーム目を落とした後、松崎太佑(たいすけ)コーチと「相手がどういう攻めをしてきたのかを分析した」という。そうして、しっかりと修正し、終わってみれば4-1で危なげなく勝利した。

「伊藤選手は凡ミスが減ったし、スマッシュがいい。今までは(相手の)ドライブが良くてもラリーでは負けないという自信があったんですけど、強気で来ていて、スマッシュを打たれてしまった。自分のボールがどんどん甘くなって相手に主導権を握られてしまったかなと思います」(石川)

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