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ハーバードまで出てなぜNPO? お給料もらえるの?

2/5(月) 5:00配信

日経ウーマンオンライン(日経ウーマン)

 「ハーバードの大学院まで出て、なぜ『ボランティア』をしているの?」「お給料もらっているの?」そんな疑問を多く投げかけられるようになってから、3カ月がたった。

【関連画像】ハーバード大学院の卒業式の様子。前列にいる女性たち(左から2人目は著者)の進路も、左から、NPO(大学)、NPO、民間企業、NPOだ

 私はアメリカの大学院を卒業した後、引き続きボストンで働いていたが、興味のある別の仕事を見つけ転職をした。転職した先は、特定非営利活動法人、いわゆる「NPO」(non-profit organization)だ。防災政策や防災教育を専門としている組織で、日本をはじめとするアジアの6カ国で事業を展開している。私は、ミャンマー事務所の代表のポジションに応募し、採用されたのだった。

 しかし、日本で周囲に新しい仕事の報告をした際、みんなのNPOやノンプロフィット・セクター(non-profit sector)の捉え方に驚いた。

●日本では、NPOはボランティアと見なされる

 職業ではなく、市民活動として認識されているのが現状だった。

 確かに、NPO全体で見ると、ボランティア・グループから企業のような団体まであり、活動範囲の幅は広い。日本では、法律に基づいて法人格を取得しているNPOを、特定非営利活動法人(NPO法人)というが、「非営利」「活動」といったキーワードも、NPOの正体の理解促進を難しくしているのだろう。

 「営利を目的にしない」ということは、決して利益を上げてはいけない、ということではない。企業であれば、利益を株主や社員に分配するのを目的としているが、NPOの場合は、その利益を事業や活動に充てるという点が、特徴であり、「非営利」と言われるゆえんだ。

ハーバード大学院では、2割が就職するほどNPOは人気

 実は、NPOやノンプロフィット・セクターは、数年前までは、私にとっても謎に包まれた存在だった。ボランティアなのか市民団体なのか企業なのか分からず、組織形態も理解できていなかった。しかし、ハーバードの大学院(ハーバード大学ケネディ・スクール)に入学すると、政府・ビジネス・NPOの3つのセクターで仕事の経験がある同級生も多く、大学院側も、この3つの分野を行き来できるリーダーの養成を推進していることに驚いた。

 例えば、アメリカ人の友人は、大学卒業後7年の間に、ソフトウエア会社、世界銀行と政府でキャリアを積み、ハーバードの大学院に進学。そして大学院卒業後は、IT技術を活用し農業に取り組むNPOへの就職を決めた。

 ハーバード大学ケネディ・スクール卒業生の就職先を見ても、4割が民間、3割が政府、2割がNPOといった内訳だ(2016年)。また、アメリカで、大学の新卒者にとって人気就職先の一つは「ティーチ・フォー・アメリカ(Teach For America)」という教育関連のNPOだ。内定率1割という難関就職先で、数年前には応募者が6万人近くになり、話題を呼んだ。

●私がNPOに就職した理由は?

 私も、日本で務めていた企業を退職し、アメリカの大学院に進学したため、大学院卒業後の進路に悩んでいた。

 在学中、半年にわたり、国連やアメリカのNGOで防災教育・政策を担当した上、大学院主催のキャリア相談会などへの出席を重ねることで、進みたい分野への携わり方が次第に理解できるようになっていったが、大学院卒業後の最初の仕事を決めるとなると、自分が何をどのような立場でしたいのか、考え抜いても明解な答えを導くことは難しい。

 結局、卒業後はボストンのマサチューセッツ工科大学(MIT)にあるUrban Risk Labという防災デザインのラボで働くことにした。シンクタンクのような立場から、アメリカ政府に災害後の仮設住宅のシステム、政策をコンサルティングするという仕事だ。

 ただ、素晴らしい上司や同僚に恵まれていたものの、どこか現場から離れているという感覚が拭い切れず、政策提言をするにはしっかりと現場が分かる人間になりたいという思いが強くなった。そして、上司や大学院の教授に相談をしたところ、現在のNPOを紹介されたのだ。

 私にとっては、ミャンマーでの防災教育・政策の事業内容が魅力的で、今後必要になる財務・人事のマネジメント経験を得られるポストが、たまたまNPOだったにすぎない。

 日本では、周囲にNPO=ボランティアだと間違われるたびに、少し切ない気持ちになるが、現在勤めているNPOは、私にとっての職業なのだ。

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