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会話上手な人は「話したいことを捨てる」

2/7(水) 9:15配信

プレジデントオンライン

なぜ人との会話が長続きしないのか。演劇教育、インプロ(即興演劇)を専門とする東京学芸大学の高尾隆准教授に、破綻なくコミュニケーションし続けるコツと、2つの魔法のフレーズを聞いた――。

■インプロ=即興演劇のメソッドを「会話力」アップに生かす

 「ボクが皆さんを見てまず思ったこと、それはビックリするくらい、肩がこうなっていたこと」――広い教室に生徒として集まったビジネスパーソンたちを前に、東京学芸大学の高尾隆准教授は背中を丸め、両肩をすくめてみせた。日々の業務でのパソコン三昧を指摘された生徒たちから、笑いが洩れた。

 10月末、東京・丸の内の慶應丸の内シティキャンパスで、30数人のビジネスパーソンを集めて開かれたワークショップ。講師として招かれた高尾氏の専門は、インプロ=即興演劇である。

 脚本、設定、役柄を決めず、演技者がその場で出たアイデアから物語を組み立て、シーンを繋いでいく。そのコミュニケーションの心得とトレーニングが、同様にその場の即興で行う「会話」の継続に応用できないか? ……というわけで、本誌はワークショップに立ち会った。

 高尾氏は生徒に、胸が引っ込んだ猫背状態と、胸の前を開いた状態とで同じ台詞を話させた。

 「同じ台詞でも、こちらが猫背だと、相手は『この人は不安なのか。本当はどう思っているのか。もしかしたら嘘をついているのか』と感じ、逆に胸を開くと『この人は自信があって、包み隠さず真実を打ち明けている』という印象を持ちます」(高尾氏)

 言葉と同じように、体全体から発するメッセージですでにコミュニケーションが行われていることがよくわかる。

 続いていくつものミニゲームが行われたが、その1つが、2人のチームで物語を即興でつくるゲーム。1人が発した言葉をもう1人が繋いで、リレーのように交互に話を繋いでいく。高尾氏が「猫がいる。何をしている? 」と聞くと、相手役となったA氏がすぐさま「寝ている」。「猫のそばに何がやってきた? 」「人」「人は何をやった」「シッシと追い払った」。そこで「猫はどうした? 」と聞くと「それでも猫は寝ている」と答え、「猫は寝てばかりで幸せでした」で終了。

 「私は、自分からはシーンのアイデアを出していません。A氏のアイデアを使って、A氏が話すたびに『そう、それ』という表情をしながらシーンを繋いでいきました」(同)

 シーンを継続させるには、「そう、それ」と相槌を打つだけでなく、「あなたのアイデアは素晴らしい」という気持ちで「興味があります」という表情を浮かべるのがコツだという。相槌や同意の際は、目を見開いたり、眉を上げ、前のめりで「まさにそれです」「それ、どういうことですか? 」「あっ、それは知らないのでもっと教えてよ」など、「繋ぐ言葉」を添えると効果的だ。その際は、視線や顔の向きにも注意が必要だ。相手は自分のほうに顔が向かなければ「受け容れてもらえない」と認識してしまうのだという。

 「『向き合う』『正対する』はメタファー(暗喩)として使われる言葉ですが、私は文字通り体が相手にそう伝えているのだと思っています」(同)

 相手の情報から会話に使える要素を掬い上げ、どう広げるかも重要なポイントだ。例えば相手が身につけているモノから話題を拾う。「そのネクタイいいですね」と伝え、相手のリアクションを見ながら話を広げて繋げていく。相手と関係を近くしたいなら、相手の話の中で自分と共通するものを見つければいい。そうすれば自然にポジティブな話に展開していく。

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