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「今年中にメイ首相が辞める」がオッズ1番人気 英国は錯乱状態

2/12(月) 7:00配信

文春オンライン

 EU離脱をめぐる本格的な通商協議を3月末に控え、穏健離脱になびくメイ英首相の退陣を求める圧力がお膝元の保守党内で強まっている。

 離脱後の展望を切り開くため、主要企業幹部を連れて中国を訪問(1月31日~2月2日)したメイ首相。李克強首相との共同記者会見では「離脱をめぐる混乱と非難が広がるが、退陣圧力に耐えられるか」と質問された。新聞は訪中より「メイ降ろし」を見出しにした。

 中国は香港返還後50年は資本主義制度と生活様式は変えないとした「中英共同声明」を無視し、香港への干渉を強める。これを棚上げし、中英の通商協議を優先させたメイ首相は中国メディアから「メイおばさん」と大歓迎された。

 しかし成果は乏しかった。習近平国家主席が2015年の訪英で合意したビジネス総額は400億ポンド(約7兆4000億円)。今回は93億ポンド(約1兆4000億円)。英国における中国資本の入った原発建設に、持ち分制限を設けたメイ首相への恨みを中国は忘れていない。

 メイ首相がEUの関税同盟に留まる穏健離脱を模索するのに対し、閣僚からも「関税同盟からも離脱しなければ辞任する」と倒閣の狼煙(のろし)が上がる。新聞には「ジョンソン首相(現外相)、ゴーブ副首相(現環境相)、リース・モグ財務相(現下院議員)」の強硬離脱内閣案まで掲載された。保守党下院議員の48人が同意すれば党首の信任投票が行われるが、すでに40人が集まったという。通商協議を前に首相交代という大きな政局になる可能性もある。

 ブックメーカーのオッズでは「今年中にメイ首相が辞める」が1番人気の2.1倍。次の党首はローマ・カトリック教徒で中絶にも同性婚にも反対のリース・モグ氏がトップ。ローマ・カトリック教会から離脱した英国で、同教徒が首相になった例はない。

 来年3月末にはEUから離脱するというのに、英国は錯乱状態にある。英国自動車産業の生産台数と投資は落ち込み、EU離脱後は経済成長率が2~8%減速すると予測される。世論調査協議会のカーティス会長はこう語る。「北大西洋の真ん中のタイタニック号と同じ。ニューヨークに着くかもしれないし、氷の海に沈むかもしれない」

木村 正人

最終更新:2/12(月) 7:00
文春オンライン

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