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無戸籍問題を考える―民法「嫡出推定」の不合理

2/12(月) 15:01配信

nippon.com

親が出生届を出さないために、「無戸籍」となった子どもたちがいる。その背景には、家族の在り様が大きく変わった今も、法的な親子関係が明治時代に施行された民法に縛られている実情がある。

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家族単位で編製される日本の戸籍

社会生活において、個人の氏名、出生年月日、国籍、家族関係などを証明しなければならない場合がある。例えば、パスポート取得の際には国籍、婚姻の際には重婚や近親婚に当たらないこと、相続の際には相続人であることの証明などである。各国はこうした証明制度を設けている。欧米では出生証明書、日本では戸籍である。

日本では、父または母が日本人であれば、子は日本国籍を取得できる。従って、子は戸籍に記載されていない無戸籍者であっても、父または母が日本人であれば、日本国籍を取得できる。一方で戸籍に記載がない場合、父または母が日本人であること、自分がその人の子であることを個別に証明するのは大変な作業である。

戸籍には日本人(天皇と皇族は「皇統譜」に記載)しか記載されないから、戸籍に記載されていれば、日本国籍も父母が誰かも簡単に証明することができ、安心して社会生活を営むことができる。前述のように、日本ではパスポートの取得、婚姻の届け出、相続の登記の際に、戸籍の全部事項証明書(家族全員が記載されている証明書=戸籍謄本)、または個人事項証明書(本人だけが記載されている証明書=戸籍抄本)の提出を義務付ける。戸籍に記載がなければ、これらの証明書を提出できない。つまり、海外旅行や海外留学ができない、結婚できない、親の遺産分割で土地を取得しても登記ができないことになる。無戸籍者の無権利状態が生まれるのだ。

さらに問題なのは、個人別身分登録制度の欧米とは異なり、戸籍は1組の夫婦と氏を同じくする子という家族単位で編製されることである。日本は、婚姻の際に夫または妻の氏のどちらかを夫婦の氏 (姓)として定める「夫婦同氏制度」である。夫婦の約96%が夫の氏を選択している。この場合、夫が戸籍の見出し(戸籍筆頭者)となり、夫、妻、夫婦の間に生まれた子が順次、戸籍に記載される。戸籍は証明の手段を超えて、夫婦と子を標準的とする家族像を示す機能を果たしている。この家族単位の制度が無戸籍者を生じる一因にもなっている。

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最終更新:2/12(月) 15:01
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