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モウリーニョはいかにして地味で保守的なマンチェスター・ユナイテッドを築くに至ったのか?

2/19(月) 21:42配信

footballista

ディストピアのフットボールを 奉ずる暗黒の預言者モウリーニョ

シーズン序盤から中盤にかけて、ペップ・グアルディオラのチームと「唯一」プレミア王座を争い得る存在だったマンチェスター・ユナイテッド。そのポルトガル人監督2年目のチームは、これまでにないほど保守的だ。イタリアのWEBマガジン『ウルティモ・ウオモ』は考察する(12月10日公開)――誰が今、ジョゼ・モウリーニョを必要としているのか?

※断りのない限り、本稿内のデータは2017-18プレミアリーグ第15節終了時点


文 ダリオ・サルターリ
翻訳 片野道郎


 マンチェスター・ユナイテッドを率いて2年目の今季、ジョゼ・モウリーニョはすでに一つの目標を達成したと主張することができる。12月10日の第16節マンチェスターダービーを目前に控えた時点で、ユナイテッドはプレミアリーグのタイトルをシティと争い得る唯一の存在であるように見えた。他チームの不甲斐なさに負うところが少なくないことも事実ではあるが……。チェルシーは不安定でいくつかのポジションが手薄だし、リバプールはコンスタントに結果を積み上げるにはあまりにバランスを欠いていた。ベンゲルのアーセナルはいつも通りベンゲルのアーセナルであり、何より第15節を終えた段階でユナイテッドに7ポイント、シティからは15ポイントもの遅れを取っていた。序盤戦は非常に良かったトッテナムも、アリとケインの調子にあまりにも多くを依存しており、トップ5からの脱落も味わうことになった。

 モウリーニョとグアルディオラの「因縁の対決」に向けて、すべてのストーリーは正しい方向に進んでいた。2人のライバル関係は、モダンフットボールの両極端にある2つのスタイルの対比を、最もわかりやすい形で体現している。

 マンチェスター・シティは、ポジショナルプレーをその基本に置く「支配的」でスペクタクルなチームだ。その専横なまでのボール支配、ハイプレスによる即時奪回、ショートパスを駆使してプレッシャーラインの背後にいる味方を常に探す姿勢――。マンチェスター・ユナイテッドは、その同じリングの反対側に立っている。ポゼッションの放棄、低い位置に敷かれた守備ブロック、フィジカルにモノを言わせるデュエル、ロングパスとクロス、そしてトランジション――。

 グアルディオラのチームはリーグ最多得点を、モウリーニョのチームはリーグ最少失点を誇っている。それだけでなく、2つのチームが外の世界に与える印象も極めて対照的なものだ。シティはサッカーファンとマスコミに愛され、対戦相手からも称賛されている。ユナイテッドはカウンター狙いの退屈なチームだと批判され、指揮官はSNS上でもしばしば嘲笑の的になっている。

 つまるところモウリーニョは、いつものように彼自身が最も得意とする状況に身を置いていた。天敵グアルディオラにシーズン初黒星をつけ、その自信にひびを入れると同時に優勝争いを再燃させる可能性を宿した直接対決に、嫌われ者のアンダードッグとして臨むというシチュエーションである。

 典型的な悪役の多くがそうであるように、モウリーニョは長い雌伏の時を経てきた。屈辱的なチェルシー解任、そしてユナイテッドでのぱっとしない1年目。そして宿敵グアルディオラの前に延びる優勝への道にはもはや何の障害物もなくなったかのように思われたその時、その前に立ちはだかろうとした。

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最終更新:2/19(月) 22:09
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