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カーリング女子の「韓国のいちごおいしい」発言の裏事情 --- 黒坂 岳央

3/1(木) 16:11配信

アゴラ

こんにちは!肥後庵の黒坂です。

平昌オリンピックでカーリング女子が「韓国のいちごおいしい」とコメントをしたことがネット上で大きな話題を呼んでいます。

後半戦の作戦会議と、栄養補給を兼ねてフルーツを食べる姿が「もぐもぐタイム」と呼ばれており、そこで食べたいちごに対して「韓国のいちごはおいしい!」とコメントをしているのです。このコメントだけを見るとなんとも微笑ましく思えるのですが、その背後にある実態を知ると、なんとも複雑な気持ちになってしまいます。

日本のいちごはこうして流出する

過去の記事『韓国や中国に狙われる日本のフルーツをどう守るのか?』(http://agora-web.jp/archives/2030759.html)でも詳しく書きましたが、今いちごを始め、様々な日本のフルーツが韓国に流出していることが大きな問題となっています。

農水省の調査によると、韓国のいちご栽培面積の9割以上が日本の品種を基にしたものといわれています。これまで「とちおとめ」「レッドパール」「章姫」といった日本を代表するブランドいちごが無断で持ち出され、韓国で勝手に交配されて「雪香(ソルヒャン)」「梅香(メヒャン)」「錦香(クムヒャン)」というブランドが勝手に作られ販売されています。

こうした問題を見て「なぜ日本のフルーツが流出してしまうのか?簡単に流出させてしまうなんて脇が甘いのではないか!?」そんな疑問と憤りを感じるのではないでしょうか。しかし、流出経緯を知るとそうは責めきれない部分があることがわかります。

2013年6月に放送されたニュースJAPANの番組でその流出経緯が明らかにされています。

愛媛県のいちご農家・西田朝美さんはレッドパールを6年間かけて開発しました。新品種の栽培というのはものすごく大変な作業で、レッドパールに限らず、開発には数年、時にはそれ以上かかることも珍しくありません。そんなレッドパールは皮肉にも開発者の西田さん自身から韓国人の手に渡り、2013年時点では韓国のいちご市場で8割を占めるまでになっています。

なぜ流出してしまったのか?その経緯はこうしたものです。

ある日、西田さんの元へ韓国人農業研究者が訪れ、「レッドパールの苗をほしい」と懇願されたそうです。「これは絶対に渡せない!」と応じる西田さんへ「そこを何とか!」と拝み倒され、断りきれず応じてしまったというのです。しかし、さすがは西田さん、その時にきちんと書面による契約を結んでいます。その契約書には「レッドパールの苗を5年間、有料で栽培できる条件で渡す。また、契約者以外とは許諾契約しない。」ということがしっかりと書かれていました。しかし書面による契約虚しく、その後韓国でレッドパールは一気に広がり一時は8割のシェアを占めるまでに広がってしまいました。

西田さんの元へ訪れたという農業研究者の正体は金重吉(キム・チュンギル)氏です。彼はテレビ番組の取材に対して堪能な日本語で「日本のいちごよりおいしいよ」と悪びれもなく答えており、彼の本棚には日本の農業技術についての本が並んでいます。韓国でレッドパールが広がって大きなシェアを取っていることについて触れると、「知り合いに苗を譲り渡したところ、勝手に栽培したり売ったりし始めた」と金氏は説明しています。つまり、自分の責任ではないよと答えているのです。西田さんの元にロイヤリティが入ってくることは、とうとう最後までなかったそうです。

悲しいことに西田さんは2015年に他界してしまいました。いちごに人生を捧げた西田さんは、韓国のいちご係争の決着を見届けることはありませんでした…。これはあまりにも悲しすぎる結末じゃないですか。おいしいいちごを開発するのに心血注いだ西田さんの努力はもちろんムダではありません。「おいしい!」と自分が作ったいちごを頬張る人々の姿を見て西田さんは幸せだったことでしょう。しかし、その努力を“ドロボウ国の肥やし”にされてしまった事を思うと、グツグツと腸が煮えくり返る思いです。

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最終更新:3/1(木) 16:11
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