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“中国マネー”に翻弄されるミラン。カオスすぎる状況に全員がお手上げ

3/8(木) 12:53配信

footballista

CALCIOおもてうら

中国マネーに支えられてこの夏、大型補強に打って出たミラン。年間チケット数が大幅増を記録するなどミラニスタは希望に胸ふくらませていたが、誰もが懸念していたファイナンシャル・フェアプレー(FFP)規程に引っかかり、一転雲行きが怪しくなってきている。もはや誰が意思決定しているのかもわからないカオスな状況だ。


文 片野道郎


 12月15日、UEFAはミランが11月に提出していたFFPに関する自主協定(Voluntary Agreement=VA)の締結申請を却下した。VAの仕組みは、資金的な裏付けを持った新規参入オーナーがチーム再建・強化のために短期的な大型投資を必要とする場合、UEFAに投資計画と収支の見通し(赤字幅)を明確化したビジネスプラン、そしてその赤字を全額穴埋めできる保証をあらかじめ示してネゴシエーションを行えば、その結果に従う形で最大4年間にわたって計画的な赤字経営を行うことができるというものだ。

VA申請却下ですべてがご破算

 昨年4月に前オーナーのシルビオ・ベルルスコーニからクラブの経営権を買収した中国の投資家ヨンホン・リーの下でミランの経営を預かるゼネラルディレクター(GD)のマルコ・ファッソーネが、今シーズンに向けた夏の移籍市場で2億ユーロを超える大型投資を敢行し11人もの新戦力を補強したのも、このVAを締結することで初期投資としての大幅な赤字が許容されることを前提としていたからだった。

 しかしUEFAは、買収直後の5月にファッソーネがVAに向けたネゴシエーションを持ちかけた時には、中国市場での過大な売上見通しに依存した経営計画は実現性が薄いとして申請そのものを受け付けず、より説得力のある計画を整えた上で秋にあらためて申請するよう指導。それを受けて、より控えめな売上見通しに基づく経営計画をベースに行われた今回の申請に対しても、経営計画そのものの内容については問題なしとしながらも、オーナーのリー会長に経営の継続性と安定性を保証するだけの資金的な裏付けが欠けているという理由で、最終的に却下するという判断を下したのだった。

 最大のネックは、リー会長がミランの株式取得時にアメリカのヘッジファンド、エリオット・マネージメントから借り入れた買収資金約3億ユーロを返済するメドがいまだ立っていないこと。この借入は、今年10月までに年利10%を超える利息を含めた約3億5400万ユーロを全額返済しない限り、保有するミランの全株式を「借金のカタ」としてエリオットに差し出さなければならない契約になっているのだが、リー会長自身はもちろんミランにも、それだけのキャッシュを用意できる見通しはまったくない。

 唯一の可能性は、他の金融機関からより有利な条件で「借り換え」する形でエリオットに返済すること。実際ファッソーネはここ数カ月、その可能性を探り続けてきた。しかし、ゴールドマン・サックス、メリル・リンチという大手投資銀行には交渉の末融資を断られ、現在は、もう1つの大手JPモルガンの傘下から独立したHPSインベスティメント・パートナーズという投資ファンドと交渉中と伝えられる。だがこの交渉も、成立する確証があるわけではない。さらにUEFAは、当面見込まれる赤字(向こう3年間で1億6000万ユーロ)を穴埋めする資金力がリー会長にあるかどうかについても疑問を呈しており、VA申請却下の主な理由としてこの2点を挙げている。

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最終更新:3/8(木) 12:53
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