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【月刊『WiLL』(4月号)より】朝鮮半島をめぐる大国のソロバン勘定

3/9(金) 10:04配信 有料

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「白頭血統」が初めて韓国へ

 北朝鮮の主導で、いよいよ朝鮮半島は統一へ向かっていくのか。2年1カ月ぶりに南北会談が開催され、先陣を切って現れた、「北朝鮮のテレサ・テン」こと玄松月(ヒョンソンウォル)・三池淵(サムジヨン)管弦楽団団長は、上質な黒いコートと高価な毛皮を身にまとい風格を漂わせていた。
 その後に北朝鮮が派遣した高位級代表団には、噂されていた通り、金正恩(キムジョンウン)・労働党委員長の妹、金与正(キムヨジョン)・党第1副部長も含まれていた。大御所の金永南(キムヨンナム)・最高人民会議常任委員長を団長とし、「白頭血統」の一員が初めて韓国を訪問した。
 昨年、北朝鮮研究の専門家でワシントン・タイムズのコラムニストでもある米国人ジャーナリストの話を聞いた際、「北朝鮮は金正恩一人の独裁体制ではない。脇を女性が固め、妹の金与正は相当な権力を持っている。核のボタンも金正恩だけが握っているわけではない」と語っていたことを思い出す。
 彼女は事実、米国の制裁対象にも入っている。また「金正日(キムジョンイル)は生前、与正の力量を高く評価していた」との話もある。兄、金正恩委員長の特命を受けての韓国訪問で、少し顎をしゃくり上げ、背筋を伸ばした姿勢で、文在寅(ムンジェイン)大統領にも微笑みを絶やさないその姿は、まだ三十代前半とは思えない貫禄が漂っていた。
 そして金与正ら北朝鮮代表団は、ソウルの大統領府で文在寅大統領と会談し、年内の訪朝を要請した。金王朝の究極の目的は、北朝鮮が主導する朝鮮半島の統一であることは間違いない。
 一方の韓国の文大統領の目標も、北朝鮮との統一、一国二制度による連邦国家をつくることとされる。また、北朝鮮と韓国はメディアを通じると敵対関係に見えるが、民心は必ずしもそうではない。離散家族でなくとも、多くが「3年にわたる朝鮮戦争で、北と南に分断されたままの悲劇が今日まで続いている」と考えているためだ。
 1989年末にベルリンの壁が崩壊し、翌年に東西ドイツは統合した。朝鮮半島の住人、世界にちらばる朝鮮人と韓国人にとっての悲願はそのドイツと同様、いずれは同胞と一つの国になること、「南北統一」なのである。
 それと、「反米反日」の文大統領は日米の視点では「左派」なのだが、朝鮮民族に視点を移せば、統一を目指すのは「右派」で「民族国家(nation state)を求める保守」とも言える。
 つまり、米国が対北朝鮮への軍事オプションを実行しない限り、「38度線」が対馬海峡まで南下する、その可能性は限りなく高い。
 警戒すべきは、文大統領は「朝鮮半島の非核化を目指す」「決して断念しない」と呪文のように唱えてはいるが、北朝鮮と融和し統一を目指すことで、「核・ミサイルを持った人口7600万人ほどの強国になる」「核ミサイルで日本をゆすれば、もっと脅し取れる」と内心、浮足立っているのかもしれない。
 さらに金委員長が、「憲法改正もできず、核武装もできない腰抜け日本を支配するのは、米国でも中国でもなくオレさまだ」と考えていてもおかしくない。
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河添恵子(ノンフィクション作家)

最終更新:3/9(金) 10:04
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