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【月刊『WiLL』(4月号)より】仮想通貨覇権闘争 仮想通貨市場は中国人が七割支配している!

3/9(金) 10:04配信 有料

WiLL

仮想通貨バブル

「乾杯!」
 掛け声が上がり、1本30万円はする高級ワインが注がれたグラスが鳴り響く。その日は中国の深セン市で開催された中国系政府ファンドのプライベート・パーティーで、仮想通貨バブルの恩恵を享受していた。
 とあるファンド・マネージャーは、半導体関連企業への投資を中心としているが直近は仮想通貨マイニング(採掘)用に必要な「ブロックチェーン」と呼ばれる分散型台帳関連技術や、ブロックチェーンを高速で生成する半導体ASICへの投資に重点を置いていると語った。
 マイニングとは、仮想通貨の暗号化システム、取引履歴のシステムに参加するということであり、仮想通貨の整合性を管理する役を担うという意味もある。その作業を行う者たちは基本的に有志であり、マイナー(採掘者)と呼ばれる。
 昨年、ビットコインが高騰したため、マイナーたちの含み資産が一気に膨らみ、高速処理可能なマイニング用サーバーの人気に火が付き、ハードウェア市場では「マイニング・チップ」の供給が追い付いていない。
 日本ではコインチェック社が管理する仮想通貨NEM(XEM)が580億円(!)も流出した事件があったにもかかわらず、その直後でもマイニング・チップの需要は底堅い。それもそのはずで、世界の仮想通貨市場規模は約60兆円とも90兆円とも言われるほど巨大な市場となってしまったからだ。
 仮想通貨の乱高下が株式市場にも影響を及ぼすまでとなり、株式市場の株価チャートとビットコインの価格チャートは不思議な相関関係を見せている。
 米大手金融機関ウェルズ・ファーゴのアナリストが、「仮想通貨暴落と株式市場暴落のタイミングがほぼ同時である」と指摘するほどだ。肥大化した仮想通貨はサイバー空間のみで動くバーチャルな存在ではなく、もはやリアルなのだ。
 その仮想通貨市場におけるビッグプレイヤーは中国人で、主要な仮想通貨である「ビットコイン」の採掘量は中国人マイナーが世界全体の3分の2を占めていると言われており、マイナーの中には政府と関係のない民間企業も多数存在する。
 中国政府は「資金洗浄」や「資本逃避」を恐れているので、サイバー空間での自由な資本の移動を監視するため、仮想通貨取引のみでなく、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)の規制を強化し、中国人ユーザーの海外取引まで規制対象としてきた。そして、昨年11月より中国政府がバックについていると言われている仮想通貨取引所がオープンしたものの、党の監視の目を恐れた中堅マイナーは目立たないように地下へ潜り、海外への移転を画策し始めている。
 このブロックチェーン関連技術への取り組みは、2015年発表の13次5カ年計画に組み込まれており、間違いなく中国政府が推進している。
 ところが、今年に入って、ブロックチェーン関連企業として注目を浴びた中国系企業十数社が「ビットコインを保有していない」「我々はブロックチェーン技術企業ではない」と仮想通貨と無関係であることを突如として強調し始めたのである。
 背景には、1月頭に中国人民銀行が「仮想通貨マイニング事業者の電力消費に対する優遇税制の廃止」を示唆し、マイニングで儲けている企業に対して、政府から電力消費の税制優遇が得られなくなることがある。
 マイニング事業はデータセンター事業と同様に大量の電力を消費する。例えばアイスランドでは2018年のマイニング事業の電力消費量は、アイスランド全市民の家庭の電力消費量を上回ると言われているくらいだ。そのため、中国の仮想通貨にかかわる企業は電力消費優遇を受けられなくなれば、あっという間に赤字になるリスクが高い。
 中国人民銀行は、そういったマイニング事業者の実態を把握して、税制優遇廃止を掲げて事業者を震え上がらせているのだ。
 中国共産党は、党への忠誠が高い企業や個人以外が富を手にするのを許さない。
 たとえば、郭文貴(かくぶんき)は曽慶紅(そうけいこう)元中国副主席の政商であったが、米国へ逃亡。共産党腐敗への批判を強め始めたことで、中国当局は一層警戒心を強めている。さらに、トランプ政権が郭文貴の亡命を認めたことも拍車をかけた。
 中国人による仮想通貨の自由なマイニングで財を成されると、第二の郭文貴を生み出すリスクがあるからだ。
 それだけではない。仮想通貨は採掘速度(ハッシュレート)が高いほど、より多くの仮想通貨を採掘できる仕組みになっている。そのため、高速マイニング・チップをより多く持っている企業が仮想通貨への支配力を高めることができ、採掘速度が過半を超えると取引承認の可否を決定できる実質的な支配権が発生する。
 仮想通貨業界では、悪意のあるグループや個人がネットワーク全体の採掘速度の過半を支配し、不正な取引を行うことを「51パーセント攻撃」と呼んで警戒しているのだが、中国共産党が狙っているのは採掘速度を高めて実質支配力を及ぼすことなのだ。 本文:5,463文字 この記事の続きをお読みいただくには、WiLLプレミアム on Yahoo!ニュースの購入が必要です。

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深田萌絵(アナリスト)

最終更新:3/9(金) 10:04
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