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知られざる日本のコーヒーと喫茶店の歴史

3/12(月) 11:31配信

@DIME

喫茶という言葉は、鎌倉時代に中国から伝わったお茶を飲用する作法や習慣を意味する。江戸時代には庶民にもお茶を飲む習慣が普及し、お茶と団子を楽しむ茶屋・茶店があちこちにでき、浮世絵のモチーフにもよく登場した。茶屋の名前をとどめる地名も多く、東京都にはお花茶屋や三軒茶屋、石川県には金沢三茶屋街、大阪府や岡山県には茶屋町などが残っていて、その由来をたどると人々が喫茶に親しんでいた様子が伝わってくる。

■コーヒーと喫茶店の歴史

日本にコーヒーが入ってきたのは江戸時代で、オランダ人により出島に持ち込まれたと言われている。当時は苦みや香りに馴染めなかったせいか、普及することはなかった。明治の文明開化を迎えると、西洋文化への憧れもあり積極的に取り入れるように。1888年には東京上野に日本最初の喫茶店「可否茶館(かひさかん)」がオープン。続いて浅草、大阪、銀座に次々と喫茶店が開店、ハイカラな文化人たちの社交場として栄え、その頃から日本でも広くコーヒーが愛されるようになった。

喫茶店が現在のような形になったのは、戦後。世の中が平静を取り戻すにつれ、ジャズ喫茶や歌声喫茶、名曲喫茶などが次々と開業する。平和になりはしたものの、まだまだレコードやステレオは個人レベルでは入手困難だったという当時の経済的背景も大きく影響しているだろう。その後、1970年代に漫画喫茶、ゲーム喫茶のブームが訪れ、1980年代になるとセルフサービス式のコーヒーショップが登場。喫茶店に求められていたニーズは、「個人では手に入れにくい贅沢な時間と空間」から「細切れに空いた時間を効率よく活用できるセルフサービス」へと変化したのだ。こうした歴史を経て、日本は世界的なコーヒー消費国となる。現在の日本のコーヒー輸入量は2015年度に48万トンを超え、アメリカ、ドイツ、イタリアに次ぎ世界第4位に。1960年に約1万トンだったことを考えると、およそ50年の間に50倍近くになった。

■喫茶店をフル活用している県は

NTTタウンページでは、タウンページデータベース(職業別電話帳データ)を活用してさまざまなマーケティング情報を提供しており、同社が運営するタウンページデータベース紹介サイトでは、毎月独自の都道府県ランキングを発表しているが、以前「喫茶店」に関するランキングを公開している。業種分類「喫茶店」への登録件数は、この10年で5万5525件から2万9345件と減少傾向に。逆に、業種分類「カフェ」への登録件数はこの10年で4626件から1万1548件と増加。

そもそも、喫茶店とカフェは何が違うのだろうか。喫茶店は昔からあるこだわりのコーヒーを出すお店、カフェは今ドキのシャレたランチもあるお店といった印象をもっている人も多いようだが、実は食品衛生法で明確に定義されている。カフェは「飲食店営業許可」、喫茶店は「喫茶店営業許可」といった違いですが、喫茶店営業許可はアルコールの提供や単純な加熱以外の調理全般ができない反面、許可を取りやすいというメリットが。また、許可は異なるものの店名に縛りはないため、「飲食店営業許可」を取りながらも「喫茶○○」と名乗る店もある。競争の激しい飲食店業界で現代人の嗜好に合わせるには、メニューに規制のある「喫茶店営業許可」より、お酒や手をかけた料理も出せる「飲食店営業許可」の方が、幅広い客層にアピールが可能。喫茶店が減少しカフェが増えているのは、そのあたりに理由があるのかもしれない。

人口約10万人当たりの登録件数でみると、1位は高知県(100.62件)、2位は岐阜県(74.34件)、3位は福井県(55.27件)に。

1位の高知県は、一風変わったモーニングが知られている。パンの他におむすびやピザ、みそ汁、スィーツなどもセットされ、単純に「豪華」だと言い切れない組み合わせがあるものの、ボリュームは満点だそう。なぜなら高知県は漁業が盛んで、午前2~3時に漁に出た人がひと仕事を終えるのが早朝。その頃に開いている飲食店が喫茶店で、肉体労働後のお腹を満たすために必然的にモーニングのボリュームがアップしたとか。喫茶店が多い理由としては、手をかけた料理を出さなくてすむ分、一人でも経営しやすいため「はちきん」と呼ばれる行動力あふれた高知県女性が開業しやすかったからとも言われている。同じように、女性一人で切り盛りしやすい美容院の登録件数でも4位(人口10万人当たり、2016年7月時点)と、独立心旺盛で働き者の女性が多いことを裏付けている。

2位の岐阜県に喫茶店が多いのは、喫茶店文化の色濃い愛知県の影響が。それは、愛知県一宮市で織物業が盛んだった1950年頃、稼いだお金を隣接する岐阜県の歓楽街・柳ヶ瀬(やながせ)で夜通し使い、翌朝にコーヒーを飲んで帰る人が多かった名残だとか。織物業の時代が終わっても、モーニングサービスを豪華にすることでお客さまをつなぎ止めるなどの努力を怠らなかったため、現在でも喫茶店が多いのだ。しかも岐阜県は、総務省統計局の家計調査(2010~2012年度)によると、すし、和食での支出費は全国1位で外食費全体が多い県。外食を娯楽と捉える意識が強いこと、3世代同居の割合が全国平均よりも高く共働き世帯が多いことが背景にあるようだ。

3位の福井県は、カフェの多さでも5位。また福井県は、2010年の国勢調査によると共働き率、3世帯同居率ともに2位で、世帯年収が多く家族数も多いことから、手軽な外食として喫茶店を利用することが多いと予測できる。

■フルサービスの喫茶店が復活?

セルフサービス式に席巻された喫茶店だが、このところ郊外を中心にスタッフが客席で注文を取り、運んでくれるフルサービスのお店が再び増え始めているという。団塊の世帯がリタイアしたことでゆとりあるシニア層が増えたこと、地域コミュニティの場としての空間を喫茶店が担っていることなどが理由のようだ。首都圏中心の銀座ルノアールが展開する「ミヤマ珈琲」は、東京と埼玉で5店舗を直営、2015年9月にはフランチャイズ第1号店として熊本への地方進出を果たした。同店は、店舗のコミュニティボードを活用し、地域コミュニティに役立つ情報の発信や、英会話、フラワーアレンジメント、珈琲教室講座などコミュニティサークルの開催も店内で行なっている。会話や笑顔、感謝が生まれる空間を提供することで、誰もがくつろげる快適空間を作り上げている。

文/編集部

@DIME編集部

最終更新:3/12(月) 11:31
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