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スポーツにおける「直感」とは?「考えない」プレーの磨き方

3/14(水) 12:44配信

footballista

Tactical Tips 認知

文 鈴木達朗


 現代サッカーにおいて「トレーニング」と言えば、ボールスキルなど実行の部分や体を実際に動かすことのみを指すわけではない。ホッフェンハイム監督のユリアン・ナーゲルスマンやRBグループのキーマンであるヘルムート・グロース(ストラテジーアドバイザー)らは、「認知」という要素にまだまだ大きな可能性を残していると断言する。また、実際にピッチ上のトレーニングや試合においても、単純な身体的負荷のみならず、この認知や感情といった部分まで考慮することが求められる。ここでは、ドイツの分析サイト『Spielverlagerung.de』のレネ・マリッチとマルコ・ヘンゼリンクが出版した著書の内容を中心に、そのメカニズムの概要を見ていこう。

戦術的アクションの6つのフェーズ

 まず、そもそも戦術的アクションが行われるプロセスとは? 2人は、ドイツの教員向けの本を引用しながら6つのフェーズがあるとしている。

 1.認知A(状況の認識)→2.情報処理A(認識した情報の分析)→3.情報処理B(状況の解決を予測してのアクションのプランを用意)→4.決定(用意したプランの中から最も状況に適した身体行為を使った解決方法を選択)→5.実行(解決に向けて体を実際に使ったプレー)→6.認知B(そのプレーを行った結果を反省する)→1.に戻る。

 サッカーの試合では、この6つのフェーズが90分間、絶え間なく常に行われ続けていることになる。「ポジショナルプレー」という用語もあるように、サッカーでは実際のところボールの保持(攻撃)・不保持(守備)にかかわらず90分にわたって適切なポジションを適切な状態で取り続けなければならず、ボールが来たらそれを適切に扱い、次の状況が自分たちにとって優位になるように動かすものだ。この観点から見れば、ボールを扱う作業は動作の一つに過ぎず、ボールを持たない時の動作と等価に見ることができる。ポジショナルプレーという用語は、適切なポジショニング自体が一つの「プレー」であると認識させる点でも意味があるだろう。これは守備においても同様である。

 ナーゲルスマンやグロースが認知に大きな可能性を見ているのも、この戦術的アクションのフェーズにおいて身体に関わる部分は「実行」の1フェーズのみなのに対して、認知に関わる部分が5フェーズもあるからだろう。集める情報の量と質を上げ、情報処理の速度と精度を高め、精度の高い選択を行い、実行後はその結果を自分自身にフィードバックし、情報として蓄積する。サッカー(および球技全般)では、実際に体を動かすのは当然だが、同時にこの5フェーズをいかに効率良く向上させるのかが鍵を握る。

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最終更新:3/14(水) 12:44
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