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どれも同じに見える? なぜ『アウディ』の新車は顔がソックリなのか

3/14(水) 21:03配信

GQ JAPAN

アウディらしさ、とは何か?

リヒテはA8、A7、A6で明確な個性を生み出したというが、しかし一般の人々にとってはほとんど見分けがつかないのではないか?

たしかに、A7は明確なファストバック処理が施されているため、純然たるセダンのA8やA6とは違って見えるが、A8とA6を瞬時に見分けられる人はまれだろう。そう私が指摘すると、リヒテは穏やかな表情のまま、こう反論し始めた。

「私は違う意見を持っています。ひとつのファミリーデザインがあって、そこから様々な個性を生み出すのがアウディの特徴です。また、間もなく登場するQ8、Q3、A1などには、A8、A7、A6とは異なったデザイン言語を採用するつもりです」

おそらく、リヒテはこう言いたかったのだろう。アウディの全モデルに共通する大きな意味での“ファミリーデザイン“があって、そのなかに“サブ・ファミリーデザイン“とでも呼ぶべきものが複数存在する。

A8、A7、A6はひとつの(セダン系としての)サブ・ファミリーデザインに属するように、おそらくQ8やQ3にもまた別の(SUV系としての)サブ・ファミリーデザインがあり、A1もまた別の(コンパクトカー系としての)サブ・ファミリーデザインがあるのだ、と……。 そして彼はこう続けた。

■Q8は全然違う顔になる

「Q8のデザイン言語はまったく別物で、これを見ればアナタも『A6と似ていますね』とは言わないでしょう。新しいA1のデザインにも驚くはずです。このクルマは初代クワトロから多くのインスピレーションを受けています。とてもスポーティなデザインですよ」

アウディは2019年、同社にとって初のEV(内燃エンジンを搭載しない純粋なEV)のe-tronを発売する。「EVにも異なるデザインを採用します」とリヒテ。

「まず、プロポーションが異なります。そして大きなホイールを装着し、オーバーハングは短くします。さらにいえば、e-tronのデザインでは空気抵抗の削減が非常に重要なテーマとなります。これは1回の充電で走行できる航続距離を伸ばすのに役立つとともに、EVならではの静粛性を確保するためにも重要となります」

「今回、発表したe-tronコンセプトのデザインも風洞施設で生み出されたといって過言ではありません。キャビンでは、ギアボックスが不要となるために足下のスペースが広がります。つまり、まったく新しいデザインを構築することができるのです」

EVの登場に代表されるように、時代の変化によってもアウディのファミリーデザインは変化し続けるという。

「アウディには100人ほどのデザイナーがいて、たくさんのアイデアを生み出してくれます。私は彼らを指揮する立場ですが、ファミリーデザインそのものも時代にあわせて進化していきます。EVの登場もそうですが、すべてはプロセスなのです。1カ所に留まっているつもりはありません」

続々と新しいデザインが登場する見通しのアウディ。その姿を、これからも注目したい。

AUDI AG デザイン統括責任者
マーク・リヒテ|Marc Lichte
1969年8月9日、アルンスベルクのザウアーラントで生まれる。ドイツ・プフォルツハイム大学でトランスポーテーションデザインを学び、1996年フォルクスワーゲン AGでキャリアをスタート。2014年2月1日より、アウディ デザイン統括責任者に就任。アウディ プロローグ コンセプト(2014年11月)をはじめ、アウディ Q8 コンセプト(2017年1月)など、次世代のラグジュアリーモデルを手掛ける。

文・大谷達也

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最終更新:3/14(水) 21:21
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