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青函トンネル30年、新幹線が直面する大矛盾

3/19(月) 6:00配信

東洋経済オンライン

 「新幹線がやってきます。光が目に入ると運転上危険ですから絶対にカメラのフラッシュをたかないでください」

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 JR北海道(北海道旅客鉄道)の保守担当者が報道陣に告げると、緑色にピンクのラインが入ったE5系が不意に暗闇から飛び出した。津軽海峡下に掘られた全長53.85kmの世界最長の海底トンネル、青函トンネルを疾走する北海道新幹線だ。

 JR北海道は3月6日、本州と北海道を結ぶ青函トンネルが13日で開通30周年となるのを前に、トンネル内の設備を報道公開した。海面下の最大水深は140m。そこからさらに100mの地下にトンネルが掘られた。今回公開されたのは、北海道側の地下深く、線路から少し離れた場所に保守作業車などを留置する「横取基地」と呼ばれる作業エリアだ。

■工期も費用も当初計画の3倍に膨らむ

 本州と九州を結ぶ関門トンネルに続き、北海道と本州も海底トンネルで結ぼうという構想は戦前からあった。具体化に向け動き始めたのは、台風で青函連絡船5隻が転覆・沈没し1430人が死亡した1954年の洞爺丸事故がきっかけだ。東海道新幹線開業と同じ1964年にトンネル調査坑の掘削を開始。1971年には本工事が始まった。1973年に北海道新幹線の整備計画が決定すると、青函トンネルも新幹線規格で整備されることとなった。

 当初は、8年で完成し総工費は2014億円の計画だった。しかし度重なる大量出水に悩まされるなどの難工事で工期が延びに延びた。結局、工事開始から開業までに24年を要し、総工費は6900億円に膨らんだ。国鉄の財政難から整備新幹線計画は凍結され、開業時は暫定処置としてJR在来線の旅客列車と貨物列車が走ることになった。

 2005年に北海道新幹線・新青森―新函館北斗間の工事がようやくスタート。それから11年後の2016年、無事開業にこぎ着けた。

 青函トンネルを保有するのは国土交通省が所管する鉄道建設・運輸施設整備支援機構だが、維持管理はJR北海道が行う。青函トンネルとその前後の区間(青函トンネル区間)約82kmは軌間の異なる新幹線と在来線が共用走行するため、在来線用の2本のレールの外側に新幹線用のレールを1本配置した「三線軌条」という複雑な構造が用いられている。

 インフラの部品数は新幹線専用区間よりもはるかに多い。たとえば、「レールと枕木を固定するレール締結装置は通常の線路の1.5倍必要」(JR北海道)という。複雑な構造ゆえに保守作業も厄介だ。新幹線は深夜0時から朝6時までの時間帯は走行しないため、保守作業向けに理論上6時間確保されているが、青函トンネル区間は例外で夜間に貨物列車が走行する。そのため、作業時間は2~4時間しか取れない。

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