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優勝候補フランス、課題山積で成熟進まず。「レ・ブルー」側から見たコロンビアの脅威とは?

3/31(土) 10:30配信

フットボールチャンネル

 コロンビア、ロシアとの国際親善試合に挑んだフランス代表。前者には2-3、後者には3-1という成績を収めたが、それ以上に収穫と課題を発見できた2試合だった。だが、未だ試行錯誤を繰り返している印象は否めず、チームとして熟成してはいない。そして日本とW杯で対戦するコロンビアは、フランスの目にどう映ったのだろうか。(取材・文:小川由紀子【フランス】)

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●若手SBを試せた2試合は大きな収穫に

 来るワールドカップでデンマーク、ペルー、オーストラリアとグループリーグを戦うフランスは、3月の国際マッチデーで仮想ペルーとしてコロンビアと、続いて開催国のロシアと対戦した。

 ホームで戦ったコロンビア戦は2点のリードをひっくり返されて2-3で敗れたが、ロシア戦は敵陣で1-3の勝利をおさめ、1戦目で浴びた批判を若干挽回して今回のテストマッチを終えた。

 今回のフランスの収穫は、まず人材が手薄なサイドバックで左SBのルーカス・エルナンデスを試せたこと。

 アトレティコ・マドリーでプレーする22歳のエルナンデスはマルセイユ生まれのフランス人だが、幼少の頃から母と弟とともにスペインで暮らし、サッカーも学業もスペインで学んだ。

「スペイン語のほうがフランス語よりも思ったことをうまく説明できる」というエルナンデスは、U16からフランス代表の各世代でプレーしてきたが、A代表ではスペインという選択肢もあった。

 しかし今回ディディエ・デシャン監督から招集を受け、コロンビア戦の76分、リュカ・ディーニュに代わってピッチに立った。

「デシャン監督から電話をもらったときは、1秒も迷ったりはしなかった。周りではいろいろ(どちらの代表を選択するか)言われていたけれど、僕自身の気持ちはもうずっと前から決まっていた。このシャツを着て、フランスのために戦えることを心から誇りに思う」

 と喜びを語ったエルナンデス。ディーニュが負傷したこともあり、次のロシア戦では先発フル出場した。

 レ・ブルーの左サイドバックは、マンチェスター・シティに移籍後まもない9月に右ひざの十字靭帯を損傷して現在療養中のバンジャマン・メンディの復帰が待たれるところだが、ここ最近、代表に定着しつつあったレイヴァン・クルザワが、所属するパリ・サンジェルマンでもパフォーマンスを落としているため、エルナンデスのパフォーマンスをチェックできたことはデシャン監督にとって貴重な収穫だった。

●ムバッペのトップ起用で新たな攻撃パターンを見出す

 そしてもう一つの収穫は、トマ・レマルとキリアン・ムバッペのホットラインが重要な攻撃オプションになることが確認できたこと。

 この2人に右サイドバックのジブリル・シディベを加えた3人は、昨季のASモナコの優勝メンバーであり、ハイテンポのパス交換から押し上げる動きは彼らの体にしみついている。

 敗戦に終わったコロンビア戦でも、フランスが押していた前半の30分間は何度も彼らが相手のディフェンスラインをこじ開けていた。

 レマルは小柄で一見存在感がないが、実は守備貢献も絶大で、クロスだけでなくシュートの精度も高い万能型選手。彼はこの夏のワールドカップで、デシャン監督が絶対に失いたくない選手の一人であるはずだ。

 ここにやはりモナコOBのメンディが左サイドに加われば、左右両サイドから勢いあるコンビネーションプレーが仕掛けられる。昨季モナコ戦で対戦したマルセイユのDF酒井宏樹も、「彼、22歳ですか? あの年であんなことができるなんて信じられないですね。恐ろしいサイドバックです」と感嘆していた。

 2戦目のロシア戦では、デシャン監督はシステムを変え、オリヴィエ・ジルーをベンチに座らせて、前戦ではサイドで使ったムバッペをトップで先発させた。より広くスペースを使って持ち前の加速とスピードでゴール前をかき回したムバッペはこの試合2得点。

 以前読んだインタビューによれば、ムバッペは育成時代から毎年違うポジションでプレーするよう訓練されてきたという。モナコ時代もレオナルド・ジャルディム監督は、右、左、トップとポジションを変えて彼を起用していた。

 前線ならどこでも自在にこなすマルチなアタッカーに成長しているムバッペが2点をマークして自信をつけたこともフランスの収穫。

 そして、ウスマヌ・デンベレ、アントニー・マルシャル、フロリアン・トーバンなど、サイドアタッカーの多いフランス代表にあって、これまでジルーのポストは現代表では彼以外は務まらない、と言われていたが、ムバッペをトップに据えた布陣も有効なオプションにできることが確認できた。

●攻撃陣は好調も、課題は守備面に

 また、今回のテストマッチでセビージャで好調のFWウィサム・ベン・イェデルも代表デビューを飾った。

 コロンビア戦の残り20分だけの出場だったが、チャンピオンズリーグのラウンド16、対マンチェスター・ユナイテッド戦で72分から出場して、6分間でドカンドカンと2点をさらってしまったあのプレーは強烈だった。強心臓であることは間違いないから、ジョーカー役には適任かもしれない。

 一方、課題となるのは守備面だ。

 2-3で逆転負けしたコロンビア戦だけでなく、1-3で勝利を収めたロシア戦でも、GKウーゴ・ロリスの好セーブに救われた際どいシーンが何度もあった。

 要となるセンターバックは、コロンビア戦ではサムエル・ウムティティとラファエル・ヴァラン、ロシア戦はウムティティとロラン・コシエルニーのコンビが先発した。

 おそらくここにプレスニル・キンペンベを加えた4人がロシア行きの23人に呼ばれると思われるが、ヴァランはコロンビア戦でも対人プレーで競り負けていた場面が目につき、ウムティティもポジショニングが微妙で相手の進入を許すなど、今回のテストマッチでは盤石とは言えない守りだった。

 もとより両サイドバックは人材が乏しい現フランス代表なので、守備面の立て直しは本戦までの重要な課題となる。

 また今回は、所属するマンチェスター・ユナイテッドで燻っているポール・ポグバにも注目が集まった。

 怪我で出場できない時を除いて、ポグバを常に起用していたデシャン監督は、本人と一対一で長い会話をもったと明かし、「(ポグバを含む)選手たちがベストなコンディションで代表でプレーできるようにもっていくのは私の役割。ポグバのこともしっかり見ている」と信頼は変わっていないことを指揮官は強調した。

 コロンビア戦ではベンチスタートで、65分にブレイズ・マテュイディと交代してピッチに上がった。後半戦のフランスはダレていたから、「ここらで喝が欲しい!」というタイミングでの投入だったが、『レ・ブルーのモーター役』であったはずの彼らしい機動力を発揮できず、残りの25分間、存在感も効力も乏しかった。

 先発フル出場したロシア戦では、ムバッペの先制点をセッティングし、後半、自ら直接FKからゴールを決めてやや面目躍如。

 パフォーマンス全体としては、実力が存分に発揮できていたとまではいかないが、リズムを取り戻せた様子だったのは朗報。彼が勢いづくとフランス代表も乗れるのだ。

●フランス戦で好ゲームを演じたコロンビア

 ただ、今回思ったのは、準優勝まで到達した2年前のユーロのときに感じた「ここからワールドカップまでの2年でさらに積み上げていくのだな」という方向にチームが進んでいないということ。

 チームとして熟成がみられないというか、毎回毎回、試行錯誤していて平行線にいる印象だ。ここからの2ヶ月で、いったいレ・ブルーはどこに行くのだろうか。

 最後に、日本がW杯で同組で戦うコロンビアは、ものすごく面白いチームだと感じた。

 序盤は抑え気味なプレーだったが、フランスが2点を先制して湧いていたところでガツっと1点ブチこむと、そのあとは、まさに寝ていた獅子が起き出したかのように牙をむいてきた。

 このチームは本当に乗せると怖い。

 自分たちがコントロールを握ったときの圧がすごい。

 そして、相手のミスをつくのが非常にうまい。むしろ、それを狙いすましているかのようだ。そして、そういった場面で得たチャンスは絶対に逃さない。

 細かいファウルもものすごくうまい。ちょこちょことひっかけてくるから、こちらが苛立ったりしたら最後。平常心を保つ忍耐力も試されるだろう。

 そして、言わずもがな、エリア内での決定力が高い。

 ラダメル・ファルカオは、1回チャンスがあれば1点決められるストライカーだ。フランス戦がまさにそうだったように。

 攻撃力が爆発していた昨季のモナコで、ムバッペやルマールら若手があれだけのびのびやれたのも、いざというとき、そしてここぞ、というボールが入ったとき、必ず仕留めてくれるファルカオ先輩がいたからなのだ。

 中盤底のカルロス・サンチェスも良い仕事人だったし、後半、ファルカオと交代した大柄なデュバン・サパタも動きがダイナミックで恐ろしかった。

 日本にとっては敵方だが、善戦を願いたい好チームだ。

 2ヶ月後にはもう事前合宿が始まっている。

 ワールドカップはもうすぐそこまで近づいてきた。

(取材・文:小川由紀子【フランス】)

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