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東京・杉並区小中一貫校建設問題で虚偽説明 区長と業者の親密関係影響か

4/2(月) 11:22配信

週刊金曜日

 工事の遅れで開校時期が1年先送りにされた東京・杉並区高円寺の小中一貫校の校舎新築工事で、遅れの主因が設計のずさんさにあるにもかかわらず、区は「住民が妨害したためだ」と強弁、区の関与のもとで責任転嫁工作が行なわれた疑いが濃厚になった。

 問題になっているのは区立の中学校1校と小学校2校を一つにまとめ、大規模な6階建ての校舎を80億円以上かけて新築する計画だ。「人口は減っておらず小学校廃校は必要ない」「教育・住環境が悪化する」といった周辺住民らの強い反対を押し切って進められてきた。そして設計段階から次々に問題が発覚する。

 2016年2月、(株)教育施設研究所という文部科学省の元技官が取締役をする会社が実施設計を受注。同研究所は自身で追加のボーリング調査を行なったが、その報告書に虚偽が発覚、訂正する事態となった。

 同年12月の入札で高円寺に本社を置く白石建設を中心とする企業体が落札、受注・契約した。都の建築許可が17年1月に出るのを前提に、同月着工、2年後に工事を終えて19年4月に開校する予定だった。ところが都は建築審査にあたって、杭の深度や強度をはじめ多くの疑問を指摘、設計の修正を余儀なくされる。許可が出たのは3カ月も遅い17年4月18日だった。

 建築許可が出るまでの間、現場の中学校では、ときおり測量など軽作業のために工事業者が来た。住民有志は紙製のプラカードを持って「区は住民と話し合え」などと肉声で訴えた。激しい衝突はなく区職員が来ることもなかったが、17年2月に奇妙な事件が発生する。路上で住民と話し合っていた白石建設の幹部社員が、突如自分から転倒(目撃者の話)、「暴行を受けた」と警察官を呼んだのだ。後に嫌疑なしで不起訴となる。

 続いて、建築許可が下りて着工を控えた5月にも事件がおきる。白石建設が住民らに対して、妨害禁止の仮処分申請を出したのだ。肉声で抗議するなどした行為が工事妨害だというのだ。驚くべきことに、「妨害」の証拠として出された住民の写真は、工事説明会で業者が盗撮したものだった。区は黙認したうえ、名前や住所などの個人情報まで提供した疑いがあるが、「(盗撮は)業者が必要に迫られてやったのだろう」と問題にしなかった。

 結局、東京高裁は、車の前に立ちはだかるなど10日間の行為を「妨害」と認定、工事車両への接近を禁止する命令を出した。

【崩れた「住民の妨害」説】

 こうして工事が始まったが、半年が過ぎた昨年11月、区は突如として19年4月の開校は無理だとして1年延期を発表する。その理由はこうだ。

〈住民の妨害のせいで工事が遅れたので工期を延期したい旨事業者から申し出があった。区は妥当だと判断した〉(趣旨)

 建築許可が出る前の、しかも裁判所の事実認定では最大10日間の穏やかな「妨害」で、どうして4カ月も遅れるのか。筆者の取材に区(伊藤克郎施設整備担当課長)は当時次のように説明した。

〈建築許可前でもプールの解体工事はできる。妨害で解体工事ができず工程が次々に遅れた〉

 しかしこの説明もついに崩れた。プール解体工事は建築許可の後に行なうよう区が指示していた事実が、文書で裏付けられたのだ。富田琢区議(共産)が3月12日の予算特別委員会で暴露した。

 この期に及んで区はなお「住民の妨害」説を撤回していない。

 不自然だが、田中良杉並区長の公私混同ぶりを考えれば理解できなくもない。私的な活動に公用車を使用、白石建設など区と利害関係のある事業者とゴルフコンペに参加、政治資金パーティに事業者を呼ぶ――といった問題が指摘されている。

「お友だち」の業者を喜ばせるために、工事の遅れの責任を住民になすりつけようとしたのではないか。なお田中区長は6月の区長選に出馬を表明、最大会派の自民党は独自候補を立てないというやり方で強力に「応援」する見通しだ。

(三宅勝久・ジャーナリスト、2018年3月23日号)

最終更新:4/2(月) 11:22
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