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青野慶久・サイボウズ社長 なぜ「やらされ職場」が生まれるのか?~魅力のない会社はさっさと潰した方がいい

4/6(金) 12:11配信

PHP Online 衆知

集まる理由がないカイシャで働いて、楽しいはずがない

サイボウズもかつてはそうでした。

理念に沿って、安くて使いやすいグループウェアを開発したところ、予想以上にヒットして起業から三年で上場。しかし、その後、事業は伸び悩み、なんとなく組織だけが残ってしまいました。そこで、事業を拡大するために、企業の買収(M&A)を始め、一年半で九社を買収。売上はあっという間に四倍に。しかし、理念なき拡大はマネジメント不全を引き起こし、組織は弱体化しました。

これではいけないと、新しい企業理念「チームワークあふれる社会を創る」を掲げ、事業の整理と組織の一体感を取り戻すまで数年の期間が必要でした。

この経験から、組織に最も重要なことは、社員が一体感を持って取り組める企業理念だと気づきました。しかし、世の中の多くの企業は、企業理念を軽視しているように思えてなりません。企業理念を重視しないということは、集まる理由が弱いということです。集まる理由がないところで働いて、楽しいはずがありません。自分は何のために働くのか。企業理念は、働く一人ひとりにとって、モチベーションの根幹なのです。

「やらされ職場」が生まれる仕組み

「カイシャは永続すべきである」と言われることがありますが、私はそれには賛成しかねます。これからの時代、もっとカイシャは作りやすくて、解散しやすいものになると思っているからです。だから、理念が弱くなってしまったカイシャは、むしろ早くリセットしてしまったほうがいい。

カイシャという妖怪は、最初は規模も小さくて影響力は弱いですが、毎年利益を出しているうちに、どんどん規模が大きくなっていく。カイシャの口座にあるお金も増え、モンスター化していく。そして、創業者がいなくなり、理念を強く持てない代表が、その組織と口座を引き継ぐことになります。以前よりはるかに大きくなったモンスターの代理人になるのです。これは危ない。でも、今の日本にはそんなカイシャがたくさんあります。

理念を持てないサラリーマン代表取締役は、とりあえず他人から批判されないように、雇用を維持し、売上と利益を向上させることを目的に経営をし始めます。すると、職場にやらされ感が出てきて仕事を楽しめなくなるし、社会の役に立っている感覚も失われてしまう。目先の数字に追われる毎日。だったら、一回リセットすればいい。

カイシャはバーチャルな人なので、このモンスターが死んでも、じつは誰も困りません。そんなカイシャはいったん解散して、継続したい事業は引き取ってくれるところに売却する。溜まったお金は、新しいカイシャを起こす仲間に投資をしたり、社員が転職に必要なスキルを身につけるために使ったり、今までお世話になった関係者で山分けしたりすればいい。

実在しないモンスターの口座の残金がゼロになっても、生身の人間は何も困りません。むしろ人間への還元が増えるという点で、歓迎できることかもしれません。

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最終更新:4/6(金) 12:11
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