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アラビア半島で8.8万年前の人骨発見、人類の出エジプト史を書き換えるか

4/12(木) 7:13配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

人類はこれまで考えられていたより早く、広く拡散していた

 8万5000年以上前のアラビア半島は、現在のように砂がどこまでも広がる土地ではなかった。

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 そこは豊かな草原地帯で、雨期が来るたびに緑が芽吹き、数多くの淡水湖が点在していた。アラビア半島の砂の中からはこれまでに、カバをはじめ、アフリカにすむ水生および半水生哺乳類の存在を示す証拠が見つかっている。このほか石器が見つかっており、人類がアラビア半島にいたらしいことはわかっていたが、人類の化石そのものが出土したことはなかった。

 ところが先日、その直接証拠を見つけたとする論文が、学術誌『Nature Ecology and Evolution』に掲載された。2016年にサウジアラビアのアル・ウスタと呼ばれる古代の湖で見つかった1本の人類の指の骨が、8万8000年前のものであることが判明したという。

 緑豊かだったはるか昔のアラビア半島の痕跡を探すため、考古学者らがまず取り組んだのは、一帯の衛星写真を眺めて、かつて淡水湖があった場所を探すことだった。

「アラビア半島の写真からは、古代の湖があった場所が1万カ所見つかりました。我々はこれまでに200カ所を訪れ、その80%で考古学的な証拠を確認しています」。研究のプロジェクトリーダーで、論文の執筆者でもある独マックス・プランク研究所のマイケル・ペトラグリア氏はそう語る。

 古代のアラビア半島に存在した湖の多くは、季節によって縮小と拡大を繰り返していたはずだとペトラグリア氏は言う。乾期が来るたびに小さくなり、モンスーンの季節には再び水量を増やすのだ。アル・ウスタの場合はしかし、年間を通して淡水をたたえていた可能性が高い。論文の共著者であるヒュー・グルーカット氏によると、アル・ウスタ湖遺跡では、石器の欠片が数多く発見されている。

定説より早い出アフリカ

 現生人類(ホモ・サピエンス)がアフリカを離れた正確な時期については、考古学者や古人類学者の間で議論が繰り返されている。現在支持を集めている説は、6万年前より古い時代に人類がアフリカの外へ大量に移住した確かな証拠はないというものだ。

 ペトラグリア氏は2007年、現生人類は7万4000年前にははるか東のインドまで達していたと主張して、大きな議論を呼んだ。

「もう10年以上も論争に巻き込まれています」とペトラグリア氏。「我々が主張したのは、ホモ・サピエンスはその年代より前に南アジアまで到達していたということです。我々の根拠は石器でしたが、それを裏付けてくれる化石はありませんでした」

 2014年、ペトラグリア氏はアラビア半島に目を向けた。この半島にはかつて狩猟採集民が暮らせる環境があったと推測され、アフリカを出るうえでここを足がかりとするのは自然なことであるというのが、ペトラグリア氏の立てた仮説だった。

 今年1月に、イスラエルで18万年前の人類の顎の骨が見つかった例があるものの、6万年前より古い時代の人類化石は、アフリカ大陸の外ではほとんど見つかっていない。

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