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「妻を捨てよう」夫から切り出す「熟年離婚」増加の背景〈週刊朝日〉

4/16(月) 7:00配信

AERA dot.

「妻がいない老後」を考えたことはあるだろうか。熟年離婚といえば、これまで妻から離婚を切り出す例が多かったが、ここ最近、妻が“不用品”になる夫が増えているという。何が夫をそうさせるのか。決意したら、どんな手順が必要なのか。長生き時代の悩める夫に、賢い離婚術を伝授する。

*  *  *
「妻と別れて、本当の自分を取り戻せました」

 横浜市在住の会社員、加藤武司さん(仮名・59歳)。30年以上連れ添ってきた3歳年下の専業主婦の妻と昨年、離婚した。離婚を切り出したのは、夫である武司さんのほうからだ。

「これから先、30年は生きる。人生まだまだこれからと考えると、妻と一緒じゃないほうが幸せだと思ったんです」

 結婚は26歳のとき。当初は仲の良い夫婦で、2人の子どもにも恵まれた。だが、下の子の小学校入学を機に、妻が「教育費の足しに」とパートに出始めてから、夫婦関係が変わってきた。

 家にいるときの妻は、「パートで疲れてる」と言ってイライラ。ちょっとしたことで、加藤さんに対して怒鳴り散らすようになり、子どもにもきつく当たるようになった。子どもが高校を卒業すると妻はパートを辞めたが、すでに夫婦関係は冷え切っていて、同じ部屋にいてもろくに会話もしないのが当たり前になっていた。

「妻は僕に無関心で、食事も別々。家にいても安らげず、居場所がない日々でした」

 離婚の決め手になったのは、2年前、加藤さんが病気を患ったときのことだ。1カ月ほどの入院で、妻が見舞いに来たのは一度だけ。病室に顔を見せたほんの5分ほどの間に妻の口から出たのは「入院費用がかさむ」「早く良くなってくれないと、お金が心配」というそっけない言葉だけ。老後を目前に控えた病身にはこたえた。

「妻にとって僕は、もはや人生のパートナーではなく、ただの“金づる”でしかないのだと実感しました」

 子どもは2人とも独立し、残る人生は妻と2人で歩む。入院時の妻の対応を見れば、年とともに体が弱ってきても「お金がかかるから、早く死んでほしい」と思われ、放置されてもおかしくない。「妻がいないほうが幸せだ」という思いが強くなった。

 弁護士に相談し、すぐに家を出てアパートを借りた。離婚を突き付けられた妻は逆上したが、家は妻に渡し、他の財産は全て半分に分けることで合意。1年半の別居期間を経て、離婚が成立した。

「前より貧乏になったけれど、離婚した今のほうがはるかに幸せです。残りの人生は、自分の気持ちに正直に、前向きに生きたい」

 と晴れやかな顔で話す加藤さん。今後、いいパートナーに巡り合えば、再婚したいとも思っている。

 厚生労働省の人口動態統計によれば、国内の離婚件数は年間約22万組。中でも、増加傾向にあるのが、結婚して20年以上の夫婦が離婚する「熟年離婚」だ。法改正で専業主婦が離婚時に夫の年金の一部をもらうことができるようになってから、熟年離婚といえば、妻から夫に離婚を切り出すというのが典型例と考えられてきた。だがここ最近、状況が変化しているようなのだ。

 加藤さんのように、夫から妻に離婚を切り出すケースが増え、しかも、“他に女性がいる”ケースだけではなくなってきたという。裁判所の2015年度の司法統計によると、男性からの離婚原因1~3位は「性格が合わない」「精神的に虐待する」「家族親族と折り合いが悪い」。

「離婚相談に来る男性で最近多いのは『妻と別れ、本当の自分の人生を歩みたい』。純粋にパートナー関係を解消したいのです」

 熟年離婚を含め、年間400件を超える離婚相談を受けている弁護士の中里妃沙子さんは言う。100歳人生時代と言われる今、定年を目前に控え、自分の人生を振り返り始めたとき、自分の人生はこれで良かったのだろうかと立ち止まる人が増えているという。第二の人生は長い。男性もゼロからやりなおしたいのだ。

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最終更新:4/16(月) 18:44
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