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ダンスが上手な人はシックスセンスを持っている?

4/16(月) 12:13配信

@DIME

 初めて訪れた場所であることは分かりきっているのに、前に来たことがあると感じたり、懐かしさがこみ上げてきた体験はないだろうか。こうした不思議でミステリアスな現象は“デジャブ(既視感)”と呼ばれているのだが……。

■デジャブによる“予知能力”は存在するのか
 これまでの人生で絶対に来たはずがない場所なのに親しみを感じたり、進んだ先に何があるのかなんとなく分かる気がした体験を持つ人は少なくない。また、初めて会う人なのに親近感を強く感じるケースもあるかもしれない。

 これらはいわゆる“デジャブ(既視感)”と呼ばれ“前世の記憶”や“天からのメッセージ”であるという超自然現象として説明されることもある。そしてこうしたデジャブを感じた時には、次に何が起るのか、少し先の未来が“見える”ともいわれている。

 だとすればデジャブはまさに“予知能力”ということになるが、本当にそのような能力が人間にはあるのか? 米・コロラド州立大学の研究チームが実際にデジャブによる“予知能力”が人間に備わっているのかどうか、実験で確かめた研究が先日、心理学系ジャーナル「Psychological Science」で発表されている。

 研究チームは都市経営シミュレーションゲームの『シムシティ』を使っていくつかの仮想現実マップを用意し、実験参加者にゲーム内の空間を体験してもらう実験を行なっている。

 いくつかのゲーム内の場所を訪れるうちに、「ここには前に来たことがある」というデジャブを報告する参加者もあらわれた。しかし実際には参加者に体験してもらったマップは同じものは1つとしてない。

 そこで研究チームはデジャブを感じた参加者に、今いる場所から移動するように促したのだが、ある意味では当然のことだがマップの地理的な知識はなく、初めて訪れた者となんら変わらない挙動であったということだ。つまりデジャブを感じて地理に明るい場所だと当人は思っていても、それは単なる思い込みに過ぎないと判断せざるを得ないのだ。

 研究チームはいくつかの実験の結果、デジャブは決して近い未来を予測するものではなく、単純に当人にそう思い込ませる現象であることを結論づけている。

「私たちは以前に見たシーンを往々にして明確には思い出せませんが、私たちの脳はその類似性を認識しています」と研究を主導したアン・クリアリー氏は説明している。つまり意識的にはっきりと思い出せなくとも、脳は過去の何らかの体験との類似性に気づいている状態がデジャブ現象ということになる。疎遠な知人の顔は思い出せても名前が出てこない時などにも近い現象であるとも言えそうだ。

■ダンサーには“シックスセンス”がある
 デジャブに付随する“予知能力”は科学的には否定される方向にあるように思えるが、一方で第6番目の知覚である“シックスセンス”は確実に人間に備わっているのだとする見解はサイエンスの側からも数多く報告されている。最近の研究では、ある程度のトレーニングを積んだダンサーは“シックスセンス”を持っているというから興味深い。

 ロンドン大学の研究チームが昨年9月に発表した研究では、ダンサーの共感能力と感受性の高さがまさに“シックスセンス”と言えるものであることが報告されている。

 2016年に行なわれた実験では、ダンサーの“ボディランゲージ”を読み取る能力の高さが明らかになった。ダンサーに汗に反応するセンサーを指先に装着してもらい、幸せを表現するダンスと悲しさを表現するダンスを観てもらったところ、感情の変化が一般人よりもかなり大きく変動していることが判明した。ダンサーは他者の身体の動きでその感情を“読む”ことに長け、鑑賞中は深く共感しているのである。ひいてはこの能力が自身のダンス表現に活かされているのも明らかだろう。

 ダンサーの感受性はなぜこうまでも鋭いのか。研究者たちが注目したのは、感情の把握に深い関係があるとされる内受容(interoception)の働きである。内受容とは身体の内部の状態や変化を敏感に把握するいわば“内臓感覚”のことだ。ダンサーはこの内受容の感覚に優れており、それが高い感受性に繋がっていると考えられるのだ。

 研究チームは女性ダンサー20人と、ダンス経験のない女子大生20人に自身の心拍のタイミングを感じたままに報告してもらう実験を行なった。実験参加者は感覚だけで自分の心拍タイミングを把握するように努めたのだが、一方で機器の計測による正確な心拍タイミングは研究チームによって把握されている。

 実験の結果、ダンサーは実に正確に自分の心拍状態を把握していることがわかった。やはりダンサーは内受容の感覚に優れていたのである。そしてこれが共感能力の高さにも結びついているのだ。

 ダンスの練習を通じてこうした“シックスセンス”が培われてくるのか、もともと“シックスセンス”のある者がダンサーになりやすいのか、「ニワトリと卵」問題は今後の研究課題になるということだが、もしダンスを通じて身体感覚が鋭敏になるとすれば、ダンスにはこれまで考えられていた以上のメリットがあるということにもなるだろう。少なくともダンサーの前でウソをついてもバレる確率は高そうである。

■AIが“予言者”になる日
“予知能力”や“シックスセンス”などのいわば“超能力”の獲得は多く人にとっての夢だろう。しかし生身の我々が“超能力”を備えなくとも、すでに頼もしい存在が身近にある。昨今めざましい進化を遂げているAI(人工知能)だ。たとえば“予知能力”はわざわざ人間が身につけなくとも、現状でもすでに多くの分野でAIの予測がかなり正確になっているのだ。

●小売業
 Amazonを利用している向きにはすでにお分かりのように、カスタマーデータの更新とマーケティングはAIが行なっていて、過去に購入した商品に基づいてさまざまな関連商品の情報がユーザーに提供されている。直接関係している商品でなくとも、AIがユーザーの人物像を把握して検討しそうな商品の情報を心憎いまでに知らせてくれるのはAIならではといったところだ。

 まさにこの技術は、特定のユーザーが今後購入を検討することになる商品を“予測”しているのである。そしてこのままデータの蓄積と分析が進めばトレンド予測や商品開発にも大いに活用されることになるだろう。

●ヘルスケア
 AIによる医療診断が今後本格化していくのは間違いなさそうだ。疾病の診断のみならず、健康診断とライフスタイルから将来の疾病リスクや余命も算出できるようになるという。またウイルスや感染症の流行地域を正確に予測することもできるようになるということだ。

●気象予測
 すでに天気予報ではAIが活用されているが、今後その精度は飛躍的に高まることが確実視されている。気象の変化の予測に留まらず、ハリケーンや台風の発生を前もって指摘したり、進路も正確に予測できるようになる。

 こうしてAIによる予測技術が各分野で活用されている現状を鑑みると、確かに人間が“予知能力”を身につける必要はないとも言える。我々は人類史上ではじめてテクノロジーによる“予言者”を持った文明になるのかもしれない。

文/仲田しんじ

@DIME編集部

最終更新:4/16(月) 12:13
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