ここから本文です

お使いのInternet Explorerは古いバージョンのため、正しく表示されない可能性があります。最新のバージョンにアップデートするか、別のブラウザーからご利用ください。
Internet Explorerのアップデートについて

シリア攻撃はトランプの“茶番” 被害は3人のけが人だけ?

4/17(火) 12:08配信

Wedge

 米英仏3カ国が4月14日未明、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したとして武力行使に踏み切った。しかし、アサド氏に対するトランプ米大統領の強硬な言葉とは裏腹に、攻撃はロシアやイランに被害が出ないよう抑制された出来レースのような趣が強く、アサド政権の戦争継続能力に「なんら影響のない“茶番”」(ベイルート筋)。かえって米欧の及び腰が浮き彫りになった。

新しいレッドライン

 攻撃が行われたのはシリア現地時間の14日午前4時。ほぼ1年前の米単独攻撃では標的は1カ所だったが、今回はダマスカス近郊の科学研究所、中部ホムス県の兵器工場、貯蔵所など化学兵器に関連した施設3カ所が標的となった。発射された巡航ミサイルも前回のほぼ2倍の105発(米発表)に上った。

米軍は地中海上の艦船3隻とB1戦略爆撃機が、英軍はキプロスの基地から発進したトーネード戦闘機4機、潜水艦1隻が、仏軍はミラージュ戦闘機とフリゲート艦4隻がそれぞれ作戦に参加した。英仏が攻撃に賛同し、西側主要国の結束を示すことができたのはトランプ大統領にとっては大きな成果だった。

 しかし、ダンフォード米統合参謀本部議長によると、ロシア側にはシリアでの衝突を回避するホットラインを通じて、事前に通告していたといい、ロシア軍は標的周辺から退避するなどして被害はなし。イラン関係者やアサド政権軍にも大きな損害はなかった。シナリオ通りに出来レースが実施された感が強い。“茶番”と言われても否定はできない面があるだろう。

 とはいえ、ロシアのプーチン大統領は「国際法違反の侵略」、イランの最高指導者ハメネイ師も「戦争犯罪」と米英仏を強く非難した。トランプ大統領から「けだもの」「怪物」と罵られたアサド氏は「蛮行」と反発する一方、攻撃が行われたその朝、何もなかったかのように、大統領府に通常通り出勤する姿を動画で公表、攻撃にたじろぐことのない大物風に振る舞った。

 ミサイル攻撃の人的被害は3人のけが人だけとされており、この程度の攻撃ではイランやロシアなどからの報復もないだろう。トランプ政権がロシア軍との対決激化を招ねかないよう配慮したあまり、肝心の標的だったアサド政権の戦争継続能力を削ぐ効果はほとんどなかったのが実情だ。

 むしろ、攻撃はアサド政権に打撃を与えるというより、米欧の「レッドライン」(超えてはならない一線)を示すことが目的だったように見える。逆に言うと、化学兵器を使用しない通常兵器であれば、どんな攻撃でも、どんなに民間人に死傷者が出ようとも米欧は容認するというシグナルでもある。アサド氏がそのように受け取ったとすれば、今後も焼夷弾のような樽爆弾など、残虐な殺戮兵器が使われ続けることになるのは確実だ。

1/2ページ

最終更新:4/17(火) 12:08
Wedge

記事提供社からのご案内(外部サイト)

月刊Wedge

株式会社ウェッジ

2018年5月号
4月20日発売

定価500円(税込)

■特集 迷走する病院IT改革
・歴史が警告する対北朝鮮宥和の危険性
・遺伝子治療の最前線 クリスパーキャス9の衝撃
・トランプ大統領「貿易戦争」の本当のリスク